【ワシントン時事】米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長は11日、上院銀行委員会で証言し、「利下げを急ぐ理由が見当たらない」と明言した。米国の雇用情勢は底堅く推移する一方、インフレは根強さを示す。トランプ米大統領の高関税政策による経済的な影響を巡る不透明感が増す中、金利を当面据え置く構えだ。
パウエル氏は雇用と物価の「両リスクに注意を払う」と強調。インフレが高止まりすれば、金利をより長期間維持するが、雇用が予想外に悪化したり、インフレ率が急低下したりすれば「相応の金融緩和が可能だ」と述べた。「リスクや不確実性への対応で、金融政策は良い位置にある」とも指摘した。
先週発表された1月の雇用統計では失業率が4.0%と、前月比0.1ポイント低下。2カ月連続で改善した。就業者数の伸びも、一時の勢いは失われたが、堅調な水準を保っている。
一方で、FRBが重視する個人消費支出(PCE)物価指数は昨年12月、前年同月比で2.6%上昇。伸びは3カ月連続で拡大した。パウエル氏は「目標の2%に対し、なおも幾分高い」との見方を示した。
トランプ氏の高関税政策もインフレの先行きを左右しそうだ。同氏は10日、米国が輸入する鉄鋼とアルミニウムに対し、25%の追加関税を課す大統領令に署名した。パウエル氏は「どのような関税政策が実行されるか見極める」と述べた上で、関税に限らず、移民や減税、規制緩和の影響も踏まえ、「適切な金融政策を行う」と語った。
[時事通信社]