【ワシントン時事】米政府は11日、ロシアで拘束されていた米国人男性が解放されたと発表した。トランプ政権がロシアとウクライナの停戦実現に向けた働き掛けを強める中、解放はロシアのプーチン政権との信頼醸成につながる可能性がある。
トランプ氏は11日夜、帰国した男性をホワイトハウスで出迎えた。記者団に解放条件が「非常に公平だった」と述べ、プーチン大統領への謝意を表明。今回の措置が「戦争を終わらせる重要な要素となり得る」と強調した。
これに先立ち、ウォルツ米大統領補佐官(国家安全保障担当)は声明を出し、「ロシアの誠意の表れで、ウクライナでの悲惨な戦争を終わらせるために、われわれが正しい方向へ進んでいる証しだ」と評価した。
解放交渉には中東問題担当のウィトコフ米特使が関わり、拘束されていた米国人を伴って空路でロシアを出国。トランプ氏は、さらに1人が12日に解放されると明らかにしたが、詳細には触れなかった。
米紙ニューヨーク・タイムズ(電子版)によると、米高官の訪ロが明らかになったのは2021年11月、ウクライナ侵攻を阻止するため、バーンズ中央情報局(CIA)長官がモスクワを訪問して以来。今回の米ロ協議の詳細は不明だ。
解放されたのは、モスクワで教師をしていたマーク・フォーゲル氏。21年8月、ロシアの空港で大麻所持の疑いで拘束された。翌年6月に懲役14年の有罪判決を言い渡され収監。米国務省は24年12月、フォーゲル氏拘束を「不当」だと認定していた。
[時事通信社]