2025年春闘で、トヨタ自動車など自動車大手の労働組合が12日、賃上げを求める要求書を経営側に相次いで提出した。最高水準の賃上げを勝ち取った前年の勢いを維持できるかが焦点で、来月12日の集中回答日に向け労使交渉が活発化する。ただ、複数の労組が前年を下回る金額を要求しており、先行きには不透明感も漂う。
トヨタは基本給を底上げするベースアップ(ベア)と定期昇給を合わせた賃金改善分として、職種・職位ごとに月9950~2万4450円を要求。これは比較可能な1999年以降で最高だった前年並みの水準だ。一時金も前年と同じ年7.6カ月分を求め、ともに前年に続いて満額回答を目指す。
他の労組の賃上げ要求では、マツダが1万8000円(前年1万6000円)、SUBARUは2万1000円(同1万8300円)と前年を上回った。前年は認証不正の影響でベア要求を見送ったダイハツ工業は2万1200円の賃上げを求めた。各労組は物価上昇から従業員の生活を守り、将来に向けて人材を確保するため高水準の賃上げ獲得を狙う。
一方、ホンダは1万9500円(同2万円)、三菱自動車は1万9000円(同2万円)、スズキは1万9000円(同2万1000円)と前年要求を割り込んだ労組もある。日産自動車労組は、賃上げ総額こそ前年水準を維持するが、深刻な業績不振のため、年間一時金はリーマン・ショック以来の下げ幅となる前年比0.6カ月少ない5.2カ月とした。
米国や中国の新興メーカーの台頭が著しい中、業績の先行きは見通しづらくなっており、経営側が積極的な賃上げに足踏みする可能性もある。自動車総連の金子晃浩会長は12日の記者会見で「人への投資をしっかりとした水準で行い、好循環に寄与したい。交渉の成果に強く期待する」と強調した。
[時事通信社]