破産前に会社の資産約5億4900万円を隠したとして、警視庁渋谷署は12日までに、破産法違反(詐欺破産)容疑で、太陽光発電事業者「NCDエンジニアリング(現タミコープ)」(東京都目黒区)の実質経営者大山顕徳(46)=住居不詳、中国籍の同社元代表孟繁栄(37)=港区南麻布=両容疑者ら4人を逮捕した。大山容疑者は黙秘し、孟容疑者は否認しているという。
他に逮捕されたのは、いずれも同社の経理担当坪井祐二(40)=港区赤坂、代表家村太三泰(33)=新宿区山吹町=両容疑者。
逮捕容疑は破産手続き開始決定前の2019年12月~20年5月下旬、5回にわたり、正規の取引を装い、NCD社の資産計約5億4900万円を、大山容疑者が代表を務める「NC電源開発」(青森市)の口座に送金するなどした疑い。
同署によると、NCD社は当時、十数社に約20億円の債務があった。このうち、台東区の太陽光発電会社から18年5月に損害賠償請求訴訟を起こされ、大山容疑者らは敗訴による破産は不可避と判断。差し押さえを逃れるためNC電源開発への送金を開始した。
NCD社は敗訴直後の21年3月に破産を申請し、同4月に破産手続きの開始が決まった。
大山容疑者らは取引先から支払われる業務委託費の送金先をNC電源開発に変更したり、土地の権利などを同社から買い取ったりする形で資産を移していた。
[時事通信社]