入管施設に収容されていたパキスタン人男性が使い回しのカミソリでB型肝炎に感染したとして、国に賠償を求めていた裁判で、大阪地裁は10日訴えを棄却しました。
判決によりますと、男性は2012年の2月に出入国管理法違反で摘発されてから8ヵ月間名古屋入管などに収容され、仮放免後の2017年にB型肝炎と診断されました。
男性は、収容されていた入管で部屋ごとに1台貸し出されていた電気シェーバーを使い回したことでB型肝炎のウイルスに感染したと主張して、国に1400万円あまりの賠償を求め2022年に訴えを起こしていました。
判決で大阪地裁は、男性が暮らしていた当時のパキスタンではB型肝炎ウイルスが蔓延していて、「原告は出生時か乳幼児期にウイルスに感染していた可能性が高い」と判断しました。
そして男性の症状からも「入管で収容中に感染したことを裏付ける事情は認められない」として、請求を棄却しました。