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【特集】マタギから自然を学ぶ特別授業 子どもたちがクロモジ茶の商品化を目指す

ABS秋田放送 2024年7月4日 18時52分

北秋田市の義務教育学校阿仁学園では、3年生と4年生が、狩りを生業にするマタギから地域の自然を学ぶ特別授業が、年間を通じて行われています。

地域にある沼を訪れ、植物と生き物について学んだ子どもたちは、マタギが愛用してきたクロモジ茶の商品化を目指しています。

北秋田市阿仁地区の山の中。

阿仁学園の児童が訪れたのは、地元の人たちから“ツブ沼”と呼ばれている大きな沼です。

特別授業の先生役は、マタギの益田光さんです。

沼を訪れた目的は、周辺の植物と生き物に理解を深めることです。

益田さん

「クロモジっていうのは、森の明るいところと暗いところの境界によくいます。阿仁では一般的にみられる。これがクロモジです」

かじるとさわやかな香りがする、クロモジの枝。

かじった子ども

「なんか苦いような」

五感をフルに使って、地域の植物を学びます。

子どもたちは、網を使って沼の生態も観察しました。

地元の人たちが「ツブ貝」と呼ぶ貝もありました。

たくさん捕れることから、沼の名前の由来になったものです。

沼の生き物は自然からの“さずかりもの”として、時にはマタギの食料にもなっていました。

男子児童

「本当にエビとか生き物がいたりして、すごいと思いました」

女子児童

「(エビを)持ってみてはねたり、飛んだりしたところが、すごかった」

そして、この沼には地元の人でも知る人が少ない、とある秘密がありました。

益田さん

「今日ね、遊んだ沼っていうのは、実は昔からある形をしているって言われているんだけど、どんな形してるかな」

子どもたち

「ハートだ。ハートだ。ハート?確かにハートだ。あ、ハートだ!ハートだ。すごーい!」

益田さん

「この地域に住んで、こういう森の近くに住んでいるんだから、こういう体験をするっていうのは意義があることじゃないかな。多分マタギの先輩たちも、こうやって子どもの頃遊んだと思うから、子どもたちも大きくなった時にこれを思い出してくれるとうれしいです」

改めて益田さんの元を訪れた子どもたち。

益田さん

「前回ツブ沼に行ったの覚えているかな。沼で遊びまくったよね。あんな感じで、この地域にはああいう植物とか生き物たちがいるわけさ。その中でクロモジっていう、なんかいい感じの植物も見つけたわね。今回は2個目の学習で、実際その植物を使って何かを作ろうっていうコーナーです」

山に入る目的はクロモジを見つけ、採取することです。

子どもたち

「これ?」

益田さん

「これクロモジ。今日のターゲットはこいつだ」

子どもたち

「ならもうターゲット終了ですね」

「だめだよ」

益田さん

「ただちょっとこれはでかすぎるんだよ。見てごらん。根本すっごい太い」子どもたち

「ほんとだ」

益田さん

「クロモジっていうけど、年をとったらああいうふうに白くなる」

すべてのクロモジを採っていいわけではありません。

森と共に暮らしてきたマタギの作法がありました。

益田さん

「見てごらん。実つけてるでしょ」

子どもたち

「本当だ」

益田さん

「こういうのは俺、採らないようにしている。ほかのやつを探してあげようか」

森を次の世代に残すことも、マタギの大切な役割です。

昔から滋養強壮などの効果があるとされ、マタギが愛用してきたクロモジ茶。

今回の特別授業では、このクロモジ茶を商品化し、販売するまでを子どもたちが体験します。

マタギは、葉っぱも枝も余すところなくお茶にします。

味はおもに葉っぱから、枝からは体にいい成分が出るとされ、それらが混ざり合って複雑な風味に仕上がります。

休憩中にクロモジ茶を試飲した子どもたち。

夏はきんきんに冷やしたものが益田さんのおすすめです。

女の子

「(色が)モモみたいだけど、普通のお茶じゃない感じになってた」

男の子

「少し苦かったり、いい味がする。」

砕いたクロモジは、3日ほど乾燥させてから袋詰めします。

パッケージのデザインも子どもたちが手掛けるクロモジ茶は、9月以降、道の駅あになどで販売される予定です。

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