全農秋田県本部はコメの集荷前に県内の各JAに支払う前払い金=「JA概算金」を決めました。コメの市場価格に影響を与えるとされるJA概算金。あきたこまちの1等米は去年産と比べて4700円高い60キロあたり1万6800円に、サキホコレも4700円引き上げ、1万9500円にしました。いずれもこれまでで最も高く、引き上げ幅も最大です。
県内はまもなく本格的な稲刈りの時季を迎えます。
農林水産省東北農政局などによりますと、今年のコメの生育は気温が高い日が続いたことなどから登熟が進み、大雨被害を受けた地域を除いて、概ね順調に推移しています。
JA概算金はこうしたコメの作柄の見込みや消費者の動向などを踏まえて全農秋田県本部が決めるものです。
全農秋田県本部運営委員会小松忠彦会長
「生産者の努力が適正に評価されることなく、生産費またはその高騰分を転嫁できない。需給動向による市場価格に左右される(概算金)設定をせざるを得ないことがこういった結果になり、農業現場を衰退させている一因ではあります。」
県内の各JAの組合長に対し全農秋田県本部運営委員会の小松忠彦会長は“これまでのJA概算金は生産コストに見合った金額ではない”として“大幅な値上げの判断が必要だ”と強調しました。
JA概算金を決める会議は独自の調査や、県外のJA概算金に関する内部資料をもとに議論が進められるとして冒頭以外は非公開でした。
会議の結果、あきたこまちの1等米は去年産より4700円高い60キロあたり1万6800円となりました。サキホコレも同じく4700円引き上げられ1万9500円になっています。
あきたこまち、サキホコレともにこれまでで最も高く、引き上げ幅も最大です。
小松会長
「3年大雨被害が続いて、現場行くたびにもう農業やめるというような声がほんっとうに、多いです。これは聞いていて本当につらいです(泣く)どうかこの米価を上げてですね、少しでも農家の思いに応えたいなというのがあります」
コメの市場価格に影響を与えるとされるJA概算金。小松会長は、「コメの品薄に便乗したわけではない。農業の担い手が不足する中、子や孫の食を守るためだと理解してほしい」として“来年産以降も同じ水準を維持していかなければならない”と力強く語りました。
主食用米の需要低迷や資材の高騰など、農家を取り巻く環境が厳しさを増す中、大幅に引き上げられたJA概算金。各JAはこの「JA概算金」から必要経費などを差し引いた上で農家へ支払う概算金を決めます。