先月の記録的な大雨から1か月余りが経ちましたが被害を受けた地域では今なお深い爪痕が残されたままとなっています。にかほ市にある創業約90年の温泉施設は記録的な大雨の影響で存続の危機に立たされています。取材しました。
にかほ市内でも特に大雨による被害が大きかった平沢地区です。琴浦川が氾濫し多くの住宅が水に浸かりました。土台の一部が増水した川の流れによって削られてしまった住宅もあり今なお深い爪痕が残されたままとなっています。
一方、浸水被害は免れたものの大雨による深刻な影響を受けている温泉施設があります。創業約90年かみのゆ温泉です。
切り盛りするのは3代目の村山聡さんです。
「うちの湯を楽しみに来てくださってる皆さんに1か月休んでいてご迷惑をかけていることがやはり非常に残念ですし、ごめんなさいという気持ちでいっぱいです。」
「かみのゆ温泉」は記録的な大雨が降った先月24日から営業休止が続いています。
神経痛や冷え性などに効能があるという温泉で入浴料は400円。
冬場の多いときには1日で100人近くが訪れ、体と心を温めてくれていました。
しかし大雨の後山あいの源泉からのお湯の供給が途絶えています。
「これだけ山が崩れて、そちらに井戸ありますので、土から木から全部来て全然お湯が来ない状態になってしまいました。」
配管が被害を受けてお湯が漏れているとみられますが、崩れた土砂や木々が邪魔をして原因を確認することすら難しい状況です。しかし、にかほ市は“民間が所有する土地であるため市では対応できない”という認識を示しています。
「個人経営のいち温泉事業主が(復旧)やるのは無理ですねこれは。はい。」
これまで温泉に通ってくれた多くの人が村山さんの心の支えです。
毎年のように交流を重ねている地元の小学校の子どもたち。
「また、今度来たいって言ってくれればうれしいですよね。で、家族みんなで来ていただいて親子の絆が強まったり、笑顔で帰っていただけるとやっぱやっててよかったなと思います。」
しかし、このままでは遠からず“決断”を迫られる日が来ると村山さんは考えています。
「お客さんのことを考えれば続けたいですけれども実際、なんですかねものすごい投資をしたものがひとり400円で回収してく仕事なのも事実で、直すのに何億もかけてやるというのはちょっと現実的ではないなと思われますので最悪はそういうこと(廃業)も選択肢のひとつかなと思っています。」
営業再開の見通しが立てられない今、村山さんは国や県にも支援を求めたいといいます。
地域で長年愛され続けてきた温泉施設がいま、岐路に立たされています。