リニューアルする道の駅てんのうで、14日からの3日間、新たな特産品として販売されるのが、「夏イチゴ」です。
夏イチゴの栽培には、国内最大の通信事業者、NTT東日本の子会社も取り組んでいます。
なぜ夏イチゴなのか?
産地化に取り組む背景を取材しました。
今年4月。
夏イチゴの苗を一株ずつ丁寧に植えていたのは、中戸川将大さんです。
中戸川さんは、NTT東日本の社員で、農業に取り組む子会社のNTTアグリテクノロジーにも籍を置いています。
中戸川さん
「コメに変わるではなく、コメに加えて」
「この秋田という地で夏のイチゴというのはかなりマッチする」
定植から4か月以上経った今月10日。
成長した苗には、真っ赤なイチゴが実をつけていました。
ー(入社)当時は農業するとは思わなかったですよね?
中戸川さん
「農業するとは思ってなかったです。NTTに入った当初は、地域に何か貢献できる活動がしたいという思いで入社したのが実態です」
ー農業はその延長線上にある?
「そうですね。まさに自分がやりたいことというのが地域に根差した一次産業、それが実現できる場所じゃないかなというのを感じています」
法人を含め、県内で農業を営んでいる個人・団体の数は、この5年間で約1万、率にして2割あまり減少しました。
さらに、後継者がいると答えた経営体は25.7%にとどまっていて、将来的に安定した食糧生産体制を維持できるかが大きな課題となっています。
この課題を克服するため、県内各地で進められているのが、スマート農業の取り組みや、その前段となる実証実験です。
キーマンのひとりとしてその多くに中戸川さんが関わっています。
中戸川さん
「AI含めて生産者が省力化ができたりとか、それによって収量がしっかりと上がってもうかる仕組みを作れるだとか、そういったところに貢献しながら日本の農業に役立っていければなと」
そして、中戸川さん自身が農場長としていま力を入れているのが、夏イチゴの産地化です。
“味”だけでなく、秋田の気候も念頭に品種を選び抜き、地域の生産者とともに、栽培とスマート農業の実証実験を始めました。
秋田食産 佐藤良一 社長
「2年間で重油代金が倍になって、我々冬のイチゴを栽培している者にとっては、利益がでないペースまで上がっております」
「この夏イチゴに関しては、夜間の気温が下がる秋田(含む東北)北三県でないと取り組めないのかなと思っております」
さらに県内の菓子業者や飲食店、土産物の製造や販売をしている企業など、次々とその輪は広がっていきます。
今週火曜日。
一般向けに初めてお披露目するイベントに向けて、菓子業者や道の駅てんのうを運営する会社と最後の打ち合わせが行われました。
道の駅てんのうを運営するノリット・ジャポン 毛利雄大さん
「イチゴってみんな好きじゃないですか。生で食べてもおいしいし。ジャムにしてもアイスにしても焼き菓子にしても何にしてもおいしいので。産直では生のイチゴも並びつつ、お土産売り場ではイチゴの加工品とかお菓子が並ぶ。県外に持ち帰ってみて、県外の人がお土産として広めていく。地域の産品として広めていく中では、すごいいい広め方なのかなと思っています」
夏イチゴを使った菓子を製造 メロニーハウス 草皆朱美さん
「私、前、ケーキ屋さんで働いていたんですけど、冬イチゴに変わるただの飾りのイチゴとしてしか使ったことがなかったので、農場にいって頂いた時にこんなにおいしいんだと思って。産地にこだわって、特に潟上にこだわって一体で作っている。自分ひとりじゃないというかそういうのがすごく作っていて励みになる」
NTT東日本の強みであるデジタル技術だけでなく、ほかの業種の人たちと手を組んで夏イチゴのブランディングに力を注ぐ中戸川さん。
中戸川さん
「農業というのは、まさに失敗の連続って言われているくらい、どれが正しいのかが分からない世界です。ですので、どんどんチャレンジする、メンバーたちとトライをして失敗と認めずにさらにトライをする、その続きが成功につながるかなと。餅は餅屋のメンバーたちが知見を集めて、それをさらに花を咲かせるような、そういう取り組みになっていければ、日本に新しい風を吹かせることができるんではないかなと思います」
産地化を目指す夏イチゴのジェラートやスイーツなどの加工品が販売されるイベントは、14日からの3連休、潟上市の道の駅てんのうで開かれます。