県は、土地取引の目安となる「地価」の調査結果を発表しました。
県全体の平均価格は、住宅地で19年、商業地で20年続けて全国最下位となりましたが、秋田市の市街地では上昇し、二極化が進んでいます。
地価の調査は、25市町村の324地点で実施されました。
調査した不動産鑑定士が、先日、概要を発表しました。
不動産鑑定士 千田幸紀さん
「県内の経済もコロナが明けまして、少しずつ回復してきているかなっていうところも実際ありますし、あと、住宅ローンがまだまだ低金利っていうこともありまして、そんなに活発ではないんですけども、今のうちに買っておこうかなっていうような方々も少し動いてきてるかなっていうふうに感じております」
住宅地の平均価格は、去年より200円アップして、1平方メートルあたり1万3400円。
19年続けて全国最下位です。
ただ、全県で平均的に地価がどのように変わったかを示す、平均変動率はマイナス0.6%で、ここ数年は下落率が縮小し、地価が上昇基調にあることがわかります。
商業地の平均価格は、1平方メートルあたり2万5100円で、3年続けて上昇しました。
20年続けて全国で最も低い価格になりましたが、こちらも平均変動率の下落率が小さくなっています。
特に、秋田市の商業地で地価の上昇が目立っています。
今回、1平方メートルあたりの価格が最も高く、上昇率も大きかったのが、JR秋田駅前の千秋久保田町にあるコンフォートホテル秋田の場所でした。
価格は11万9000円で、9.2%上昇しました。
千田さん
「(9.2%の上昇は)あんまり見たことないんですけれど、それだけ中心部はですね、ミルハスも含めて人の流れがどんどん帰ってきているような傾向がありますし、ホテルの建築あるいはマンションの建築なんかも結構最近見られるようになってます」
秋田市は、住宅地も価格と上昇率が上がっています。
秋田駅東口の手形西谷地が、1平方メートルあたり8万5000円。
4.2%上昇しました。
秋田駅周辺では、住宅地、商業地ともに動きが活発になっています。
秋田市の住宅地の平均変動率は、プラス1.9%。
県内の自治体では秋田市だけがプラスになりました。
秋田市の市街地はほぼ全域で価格が上昇しています。
去年記録的な大雨の被害を受け、影響が懸念されていた広面や東通地区でも、前年並みの上昇率となりました。
床上浸水していない東通5丁目は、7万6500円で、上昇率はほぼ横ばいの3.9%でした。
一方で、同じく大雨被害のあった五城目町では、地価の下落が大きくなっています。
県全体で去年と比べて最も大きく上昇したのは、住宅地でも商業地でもなく、能代工場団地の場所です。
広島に本社を置く、国内の製材最大手・中国木材が今年1月に工場を稼働させていて、9.6%上昇し、4550円でした。
周辺では、この先もさらなる用地の需要が見込まれているため、価格がさらに上がる可能性もあります。
千田さん
「いま物価も上昇してますので、そういった造成費も上がれば、販売価格も上がってくという流れで、さらに多分単価的なものは上がっていくのかなということです」
県内の地価は、秋田市を中心に能代市や由利本荘市、大館市でも一部で上昇傾向にあります。
ただ、不動産鑑定士の千田幸紀さんは、秋田市中心部などはまだまだ需要があり、価格も上がるとみられるが、そこを離れるとこの先、投資が活発になる要素が少なく難しいのではないかと話し、二極化がより鮮明になると分析しています。