男鹿市の加茂青砂地区の歴史や文化を調査・研究してきた県立大学の学生たちが、地区の新たな特産品の開発に取り組み、今月上旬、住民を招いた試食会を開きました。
海の幸をふんだんに取り入れた試作品の評判は上々で、参加した住民たちは、若者のアイデア料理に舌鼓をうちました。
天然のサザエをスペイン料理に。
海藻が原料のスイーツも。
この場所ならではの味を目指して試行錯誤しました。
特産品の開発に取り組んだ学生と、住民の交流を追いました。
男鹿半島の西海岸にある、加茂青砂地区。
今月8日、県立大学で農業経営や流通などについて学ぶ研究グループの学生が訪れました。
加茂青砂の海の幸をふんだんに取り入れた試作品を住民に試食してもらうためです。
使うのは、水揚げされたばかりのサザエ。
そして、海藻を乾燥させたり煮込んだりして作る伝統食、エゴです。
地区の住民が下ごしらえしてくれたエゴを調理しました。
特産品の開発に取り組んだきっかけは、半年ほど前に開かれた交流会です。
昨年度、繰り返し通って、加茂青砂の課題や魅力を見つめてきた学生たち。
調査・研究結果の報告会で、地区の伝統食を特産品にできないか提案しました。
住民の要望に応じた学生たち。
若者ならではのアレンジも加えました。
エゴは、黒蜜やバニラアイス、それにきな粉などとかけ合わせ、和風のスイーツに。
サザエは、ニンニクとたかの爪を入れたオリーブオイルで煮込む、アヒージョにしました。
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住民を招いて開いた試食会。
4つの班に分かれて、テーブルを囲み、意見を交わしました。
大友洋一 区長
「食べやすいは食べやすいんだけども、パックに。缶詰に入れるとちょっとあれだな。いま、生だから、とれたてだから」
学生
「缶詰になって買うほどでもない?」
大友区長
「うんうん」
元料理人 大渕芳男さん
「この皿さ、どんと盛ってやるとお客さんも『わ、これ何、サザエか』という感じ。だから例えばこういう具合にして殻さ入れてやると」
高齢女性
「あらきれい」
大友さん
「これでいいんじゃないかなと思ったの。お客さんも『わーサザエだなという感じに』」
高齢女性
「サザエっていう形が分かるもんね」
エゴは冷凍したものと、冷蔵したものの2種類を用意しました。
年齢は大きく離れていますが、味覚が合う人も。
学生
「エゴを凍らせたことある?」
石川芳恵さん
「ねぇ」
学生
「初めて?」
石川さん
「うん。ただそのまま切ってあの」
学生
「酢みそとかだよねぇ。うんうんうん」
石川さん
「おいしい」
学生
「良かった」
大友玲子さん
「暑いからちょうどいい。暑いから冷たいのちょうどいい」
学生
「お味どうですか」
大友幸雄さん
「エゴ凍っているからおめぇ、エゴの味さねぇ(笑)」
学生
「食感は」
大友さん
「食感はあるども、こういうエゴ食べたことねぇな」
班ごとにまとめた意見を全体で共有しました。
♪サザエ 青木なつみさん
「ビジネスでパウチとか缶詰とかにするのもいいけど、やっぱただ、そのむくのがだいご味だから、それをどうするかっていうのを検討する点かなという話になりました」
サザエ 林田綾佳さん
「肝のあるなしと、味に関しても賛否両論が少し出ていて。ハーブソルトに関しては、そのまんまでももちろんおいしいんですけど、付属として少しあっても、お好みでそのあとつけ足して食べられるのもいいんじゃないかなという案も出ました」
エゴ 花田絢美さん
「凍らせることでその風味が、良くも悪くもなくなるので、なんかエゴ初心者の人にはいいんじゃないかなというふうに思ったのと、食感が普通に食べるよりもシャリシャリしててちょっとおもしろいなというふうな意見が出ました」
エゴ 遠山龍生さん
「エゴはですね、基本的には良くできていると好評でしたが、ちょっとうちの班、酒飲みが多いのか、酒のつまみには合わないなという意見も」
この先商品化されるかどうかは決まっていませんが、“若い視点”で生み出されたアイデアが、長くこの地で暮らしてきた住民の意見も加わって、磨き上げられました。
加茂青砂ならではの海の恵み。
住民にとっては当たり前にも感じられる地区の魅力に、学生たちが光を当てました。
人口約90人で、住民の平均年齢が70歳を超えている加茂青砂。
来年の春には、県立大学の学生1人が本格的に移住することになっています