ものづくりの分野で卓越した技能を持つ人を国が表彰する「現代の名工」に、大仙市の北日本花火興業の花火師・今野義和さんが選ばれました。「花火製造の精密さ」や「音楽と花火の融合」=「創造花火」が高く評価されました。1発1発の花火に込める思いを取材しました。
「現代の名工」に選ばれた大仙市の花火師・今野義和さん。県内の花火師では3人目の受賞です。
今野義和さん
「花火っていうのはお客様に見せるものですから、そういう意味でお客さまがに楽しんでもらったり評価していただいたという事だと思うんですよね」
125年の歴史を誇る北日本花火興業で約40年にわたり花火師として活躍してきた今野さん。
今回の受賞は・丸形・球型にとらわれない「型物花火」を作る技能が卓越していることや、光や音などでテーマ性を持たせショーの要素を盛り込んだ「創造花火」のスタイルを確立させたことなどが高く評価されました。
型物花火とはアルファベットやスマイルマークなど丸形にとらわれない花火のことです。
この型物花火で、より幅広い絵柄を表現できるようにしたのが今野さんです。
今野さん
「スマイルという笑顔の形あるでしょ、簡単そうにみえるんだけどね、あの表情を笑ってる表情にするには作る人がね、つまらなそうに作ったり、悩み事抱えて作るとね笑ってくれないんですよ」
今野さんは、花火師の思いが形に現れると話します。火薬を詰める作業は時代が変わってもすべて手仕事です。
「手作業でつくってるってところが花火の、人がやってるんだっていう魅力だと思うんですね」
そしてもうひとつ。大曲の花火の特徴の一つ『創造花火』です。
こちらは1983年、いまから41年前の創造花火です。
当時は、「音楽」が流れていませんでした。
それがいまは・・・当たり前になっている「花火」と「音楽」を初めて組み合わせたのが今野さんでした。
「花火大会って30分も見れば飽きてくる。子供たちがね、おしまいまで興味津々に花火を楽しめるようになってるっていうかね」「音楽を使ったりしてショーアップされた花火っていうのがね、いまは創造花火という名のもとにスタンダードになってきた」
いまでは創造花火の第一人者として全国に名を知られる今野さんですが、始めたころは苦労も多かったと言います。
「単純な点火はこれを使いますけども、もちろん今も単純な打ち上げの場合は使ってますしね」「ただ間違うこともあった。押して、あっいかない!とか。」
現在は、デジタル制御のもとで緻密な打ち上げができるようになり、失敗することはほとんどなくなりました。
かつて手作業だった打ち上げの時には1つ1つのボタンに責任感と期待感があったと今野さんは振り返ります。
「大会提供ってありますよね、5分くらいかな。30年ほど前は地元の花火屋さんでそれぞれの点火機を並べて30回くらいの点火でこなしていくと。いまはもう自動でスイッチポンでいくんだけども、当時は宿舎の方から何番点火っていうのがね号令がかかってきて、よく聞いてボーンと押していくと。そうするとあの500mからわーっと上がっていく。そういう人為的な、人の作業で大会を盛り上げてきた」
「見る人が笑顔になる花火を届けたい」。40年花火の製造を続けてきた今野義和さん。
「現代の名工」という栄誉を受けてなお、この先も歩みを止めないと気持ちを新たにしています。
「やり残してることが結構あるんですね。先人たちがいろいろ技を積み重ねてきた古典的な花火になってるんだけども やっぱり温故知新のためにも、昔見た花火に挑戦してみようかなと思います。それを現代流に組み合わせてやっていければ、また進歩していくんじゃないかなと思ってます」