にかほ市象潟町の川袋川で、サケの遡上が最盛期を迎え、12日も多くの水揚げがありました。
命をつなぐため、大海原からふるさとの川へと戻って来たサケですが、近年、その数に大きな変化が出ています。
鳥海山の麓から日本海に注ぐ、にかほ市象潟町の川袋川です。
大きな川ではありませんが、県内の川で獲れるサケの半数近くが、この川袋川を遡上してきたものです。
日本の遥か北、オホーツク海やベーリング海を回遊してきたサケ。
大海原に出て3年から5年ほどで大きく育ち、再びふるさとの川に戻って来ると言われていて、遡上の前にまずは海と川を行き来しながら、淡水に体を馴らすと考えられています。
そして、準備が整うと一気に川をさかのぼります。
そのサケを捕獲するために、河口から約300メートル上流に設置されているのが「やな」と呼ばれる仕掛けです。
かつて、遡上するサケの数は100匹程度だったという川袋川ですが、昨シーズンの水揚げは約1万匹。
サケを川袋川の特産に育て上げたのは、地元の生産組合です。
いまでは、にかほ市の小学校で給食として出されることもある、地元にとって馴染み深い存在です。
先月中旬から水揚げが始まっているサケの生態などについて学んでもらおうと、12日は、市内の小学生が招かれました。
自然を大切に思う気持ちは、世代を超えて受け継がれてきました。
川に戻って来るサケを増やすために生産組合で50年以上前から取り組んでいるのがサケのふ化と稚魚の放流事業です。
特に卵を採る作業では、メスの成熟具合を見極めることが重要です。
記者
「ばらけているのとばらけていないのと、違いって何ですか」
「まだ未熟、っていうことだから、大体こういうやつを無理にやると受精しない」
生産組合では、毎年1000万匹の稚魚を育て、春に放流しています。
しかし、近年川に戻って来るサケの数に大きな変化が出ているといいます。
「ここ2年くらいはどんどんどんどん(漁獲量が)落ちてきてるでな」
「このままでいくと今年は危ういかなって感じ」
記者
「採算が取れるか」
「取れねぇな」
かつては4万匹あまり獲れた年もあるといいますが、漁獲量減少の背景にあるとみられるのが、海の環境の変化です。
海水温の上昇がサケの行動に影響を与えているのではないかとみられています。
しかし、はっきりとした原因は分かっていないのが現状です。
半世紀以上かけて育んできた、地域の水産資源。
川袋鮭漁業生産組合 池田智 組合長
「大変どこの地方も太平洋沿岸もサケが少ないってことで、北海道は特にってことで、今年はそれなりにうちのほうはまずまずって言えばいいか、ようここさ来てるのかなと思って、でもこれからですね、勝負は」
来月上旬まで続く、川袋川のサケの遡上。
生産組合では、今シーズン、1万匹の水揚げを見込んでいて、来年も1000万匹の稚魚の放流を目指しています。