自動車メーカー スズキの整備士が一堂に会して行う「整備の全国大会」で秋田スズキのペアが、日本一に輝きました。2年に一度しか開かれないこの大会で、秋田スズキのペアが優勝するのは初めてです。栄冠に輝いた2人を取材しました。
能代市の国道7号沿いにある「スズキアリーナ能代店」
田村アナウンサー
「いらっしゃった。畠山さん・新開さん!おめでとうございまーす。素晴らしい快挙ですね」
こちらが「スズキの日本一」に輝いた整備士ペア。
能代市二ツ井町出身畠山大嗣さん38歳と藤里町出身新開翔さん33歳です。
畠山さん
「4位から表彰されるので、4位に入れたらいいなと2人で話してはいたんですけれど、いやまさかまさか1位になれるとは…思ってもいませんでした。」
新開さん
「え? マジか~?みたいな、これ本当なのかな?みたいな体の中からゾワゾワゾワゾワ寒気がするぐらい変な気持ちで」
9月の東北大会では2位だった2人、東北代表として、静岡県の浜松市で行われたスズキサービス技能競技会の全国大会に今月13日に出場しました。
多くの知識と技能が問われるこの大会。法定1年点検をマニュアルに沿って正しく診断できるかや、法律違反の箇所を指摘できるか。それにエンジンの分解・組み立ても審査され、学科試験も課されます。
2年に一度しか開かれない大会で、今回は、全国から選りすぐりの18組36人が出場。畠山・新開ペアが秋田スズキとして初めての優勝を手にしました。
スズキのディーラーにとってとても名誉あるタイトルで、社長も応援に駆け付けるほどの熱の入りようです。
大会の様子はインターネットでライブ配信され、地元からも声援が送られました。
秋田スズキ能代店 仁平明日香店長
「事務所内で表彰式の映像を見ていたんですけど、みんなでもう大喜びしてました」
2人は、どんな形で競技を進めたのか、実際に見せてもらいました。
「じゃあ始めますスタート」「おねがいしまーす」「ボンネット開けまーす」「フロントワイパー確認します」「ゴムの切れ異常なし」「フォグランプでーす」「ハーイ」「ハザードでーす」「ハーイフロント灯火装置異常なし」
無駄なく、大きな声で審査官に伝えていきます。
今回実は、事前に工場長に聞いて、ドライバーが気づかずに犯してしまいがちな法律違反を施しておきました。
まず「ヘッドレストを外す」追突事故でのむち打ちを防止するヘッドレストを外すのは法律違反です。また、お守りやマスコットをフロントガラスや助手席・運転席の窓ガラスに貼り付けると視界を妨げるため法律違反です。もちろん車検も通りません。
(ボンネット開 カチャっ)
「すいません…「フロントガラスに吸盤貼り付けてます。保安基準不適合です。取り外しまーす」「助手席のヘッドレストありませーん。整備不良です」「ハイ取り付けしまーす」
基本的なことも確実に指摘して改善していきます。
「左前確認しまーす。右後ろタイヤ状態異常なし 溝確認しまーす、右後ろタイヤ7.0」「リア緩衝装置の取り付けの状態異常なーし」「ローアームの取り付け状態確認しまーす。左右ローアーム取り付け状態ガタなし異常なし。」「規定トルク100ニュートンで締め付け異常なし、下げまース」「ハイっ」
こうした適格な点検や、エンジンの専門知識などが高く評価され畠山・新開ペアは日本一に輝きました。
国家資格である「自動車整備士」。今、自動車整備は県内では、秋田市と北秋田市の技術専門校でしか学べません。高校の自動車科も10年以上前に全てなくなりました。20年前254人だった自動車整備士の合格者は昨年度は174人。この20年で3割以上減りました。希望者自体も減少傾向です。
車が大好きな2人は自動車整備に興味を持って整備士を目指す人が増えてほしいと考えています。
新開翔さん
「車を直すって言う仕事は人の命にも関わるし、人の役に立てることなので、私はやっぱ人のお役に立ちたいし、 人が喜んでる姿をみたいっていうところで整備士を目指しました。」
畠山大嗣さん
「当社でも女性の整備士もいますし、ほかのディーラーさんでもいます。どちらでもできるお仕事ですので、私たちの姿を見て今後秋田県の 整備士が増えていっていただければなと思います」
2人は、今度は再来年の出場を目指す新しいペアに自分たちの経験を伝えていくことにしています。