クマが居座ったスーパーがある秋田市の土崎地区で、2日夜、クマとみられる動物が目撃され、警察が周辺の警戒を強化しました。
クマの居座りとその対応を受け、浅尾環境大臣が、3日、市街地で銃を発砲する際の規制要件を緩和する法律を「できるだけ早く提出したい」と述べました。
クマ被害のスーパー営業再開を発表
約2日間にわたってクマが店内に居座った、秋田市にあるいとく土崎みなと店。
3日はブルーシートなどに覆われて、中が見えない状況になっていました。
店は、被害があった箇所の商品の入れ替えや、徹底した消毒・清掃を行った上で、次の土曜日・7日に営業を再開するとホームページなどを通じて明らかにしました。
一方 土崎地区では新たなクマとみられる生き物の目撃情報が
熊谷奈都子 記者
「こちらの図書館の駐車場で、クマのような動物が目撃されました。昨日までクマが居座っていたスーパーからはわずか800メートルほどの距離です」
秋田臨港警察署の調べによりますと、2日午後7時50分ごろ、秋田市土崎港中央の土崎図書館の近くを通りかかった10代の男性が、駐車場でクマとみられる動物を目撃しました。
体長は70センチから80センチほどで、男性は恐怖からクマかどうか正確には確認できず、去っていった方向もわかっていません。
秋田市立土崎図書館 北島学 館長
「こういう駅前なんてようなところに出るんだという風に思いました。入館された方に周知のためにちょっと注意してくださいという張り出しをしようかと考えています」
現場はJR土崎駅のすぐ近くで、3日朝の通勤・通学の時間帯は、警察が周辺の警戒を強化しました。
この地区には、複数の小中学校があります。
土崎駅から約400メートルの土崎小学校は、2日に引き続き、保護者へ送迎を呼びかけました。
登校時間を45分長くするなどの対応を取り、外での活動はすべて取りやめています。
県内では、先月中旬以降、土崎地区や飯島地区など秋田市の北部でクマの目撃が相次いでいるほか、秋田市中心部や能代市、それに由利本荘市でも目撃情報があり、県が注意を呼び掛けています。
環境大臣 銃使用の法改正に向け「環境整備進める」
先月末に鹿角市のクマ被害の現場を訪れた浅尾環境大臣は、秋田市のスーパーのクマの“居座り”を受けて、3日、市街地での銃発砲の規制要件を緩和する法律を「できるだけ早く提出したい」と述べました。
浅尾 環境相
「皆様方がしっかりと安心できるように、法律の提出に向けて、環境整備を進めてまいりたいというふうに考えております」
記者
「今回のケース、仮の質問なんですけども、今回のケースであれば、改正後であれば猟銃の使用は可能だと」
浅尾 環境相
「中に人がいないっていうことであれば、大丈夫だというふうに考えております」
県と市には対応めぐり意見相次ぐ 業務に支障も…
一方で、今回のクマ居座りの対応を巡って、県と秋田市に、主に県外から電話やメールが相次いでいます。
「クマを殺さないで」「人と関わらない遠くの山に逃がしてください」といった批判的な声が大半ですが、「殺処分は仕方ない」、「県や秋田市、警察が命をかけて対応しているので頑張ってほしい」という声もありました。
県も市も、人が襲われる被害が相次いでいることを丁寧に説明していますが、中には30分以上話す人もいて、別の業務に取りかかれず、支障も出ているということです。
人とクマの生活圏の境界が薄れ、被害が後を絶たない中、こうした対応も課題の一つとなっています。