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誰もが使いやすい芸術活動の場に…新たなホールを立ち上げた男性 夢にまた一歩前進

ABS秋田放送 2024年12月11日 18時4分

秋田市の住宅地に10月に誕生した新たな芸術ホールの特集です。

大きすぎず、客席との距離が近いといった利点をいかして、これまで現代舞踊や音楽ライブ、それに落語など様々なジャンルの団体が利用しています。

先週(※3日取材)、この芸術ホールを秋田市内の高校の演劇部が訪れ、東北大会に向けて本番に近い形で練習に励みました。

芸術活動ができる場所を探している人たちの受け皿を目指しホールを手がけた男性が、思い描いていた一つの形が実現しました。

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今年10月に、秋田市にオープンしたアートボックス卸町を訪れたのは秋田南高校の演劇部です。

いまは1年生と2年生あわせて9人で活動しています。先週火曜日=3日に普段とは違う環境の芸術ホールで練習に臨みました。

「今って何年?」

「昭和20年に決まってるじゃない」

「オーマイガッ!」

「マ、マイガ?」

「いや、薄々やばそうな予感はしてたのよ、この景色の感じとかあんたのその服装とかまさかとは思ってたけど、今でも全然信じられないんだけど…もしかして今って戦争中?」

秋田南高校の演劇部が今年の題材に選んだのは終戦直前に250人以上が犠牲になった土崎空襲です。現代の高校生がタイムスリップして当時を追体験するという構成です。

地区大会と県大会を勝ち抜き東北大会の出場権を手にした秋田南高校の演劇部。

大館市で開かれる東北大会まで2週間余りに迫ったこの日、本番を見据えて本格的な機材もそろうアートボックスで動きを確認しました。

「もしもし。今?塾の帰りだよ」

顧問・小松理津子教諭

「ちょっと待って声小っちゃい、めっちゃ小さい。この狭い所でそんな小っちゃかったら大館なんて絶対に聞こえない」

「はい、すいません」

高校の演劇では本番前のリハーサルで初めて広いステージに立ち、照明を使う場合がほとんどです。

照らされる側も、照らす側も慣れていない状態で大会を迎えます。

普段の練習と環境が違うなか、戸惑う高校生たち、積み上げてきた成果を本番で披露するために試行錯誤しました。

その練習の様子を見守っていたのはアートボックスを手掛けて芸術監督も務めている山川三太さんです。

10代のころから演劇に携わってきた山川さんには高校の演劇に対する熱い思いがありました。

使われなくなった事業所だった建物を改装して生み出されたアートボックスは100人規模の芸術ホールです。

かつての県民会館や秋田市文化会館がなくなり、舞台芸術の練習や発表の場が県内で少なくなったという声を受けて、みんなが気軽に使えるホールを作ろうと工事を進めてきた山川さん。構想し始めたころから高校生には無料で貸し出すことを決めていました。

山川三太さん

「若い人たちにやっぱりここを使ってほしいんで。放課後に部活で使ってもらったりして、ここでどんどん芝居作ってくれたりすれば本当にうれしいよね」

思い描いていた一つの形が実現しました。

山川さんは、芸術に携わる人たちがアートボックスに集い交流しながら、技術を高め合っていくことを願っています。

顧問「大会前とかだと結構使わせていただけるととてもありがたいです」

山川さん「ここ使ってくれる分には本当に、みんなここでやってくれれば高校生たちが」

顧問「みんな稽古場に困ってるので、こんな広い所全然取れないので」

本番により近い環境で練習が出来る芸術ホール。高校生たちも確かな手ごたえを感じていました。

役者としての経験も豊富な山川さんにアドバイスも求めました。

生徒「今回の練習見て感想というかなんかノート(指摘)とかしていただけるとことか」

山川さん「ここに気持ちを乗せようとしないで、なるべくちゃんと立ってるってのが大事、だからそれが出来れば、あとはテンポが出てくればオーケーなんで、頑張って!」

「ありがとうごさいます、よかったね(ホッ)」

2年足利日菜乃部長

「わかんないもんね、客観的に見てもらわないと…」

2年關陽奈子さん

「乗せよう乗せようとしてた、気持ちを」

足利さん「ね、してた」

關さん

「普段は本番の直前にしかできなことがこうやって数週間前とか、普段の練習とかでこういうふうに使える場所があることがすごくありがたいなと思います」

足利さん

「自分の顔が光に当たっている感じとか感じながら演技する経験が学校ではどうしてもできないので、そういう経験ができたのは良かったです」

若い世代が舞台芸術を身近に感じてもっと楽しめるように。山川さんはアートボックスをより多くの人に利用してもらい、芸術に触れる機会を増やしていきたいと考えています。

山川さん

「昔のこと思い出しちゃったよ、50年以上前の話、笑」「彼女たち本当になんか喜んでたからね、すごくうれしかったよね、本当にね、遊び場になってくれればいい」

誰もが使いやすい芸術ホールを目指すアートボックス。少しずつ広がりを見せています。

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山川さんは、練習で使ってもらうだけではなく、その様子を地域の人たちにも見てもらうなど大会前の腕試しができる環境も整えていきたいと話していました。

高校生たちの表現力もますますレベルアップしていくといいですね。

演劇部の東北大会は今月20日から大館市で開かれます。

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