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パキスタン初の母乳バンク、イスラム法学者が異議 家族法に抵触の恐れ

AFPBB News 2024年7月13日 16時30分

【AFP=時事】パキスタン初の母乳バンクが、イスラム法に反する恐れがあるとイスラム法学者に指摘され、活動を停止した。同バンクを立ち上げた病院は再開に向けて交渉を進めている。医師と政府のイスラム・イデオロギー評議会(Council of Islamic Ideology)が12日、明らかにした。


 最大都市カラチ(Karachi)にある母乳バンクは昨年12月、州のイスラム神学校から宗教的承認を得た。しかし、今年6月の開業直後に撤回され、閉業を余儀なくされた。


 母乳バンクが設置された「Sindh Institute of Child Health and Neonatology」病院の医師兼専務理事のジャマル・ラザー(Jamal Raza)氏は、「母乳は、早産児の生存率を高める唯一の手段だ」「人々はそのことを分かっていない。母乳は早産児にのみ与えられるはずだった」と説明した。


 国連児童基金(UNICEF、ユニセフ)によれば、パキスタンの新生児死亡率は出生1000人当たり39人で、南アジアでも高水準となっている。母乳バンクは、こうしたパキスタンの早産児の命を救うために立ち上げられ、州のイスラム諮問機関「ジャミア・ダルル・ウルーム(Jamia Darul Uloom)」により、宗教令(ファトワ)で2023年12月に承認されていた。


 しかし、中央政府のイスラム・イデオロギー評議会は後に、同じ女性に母乳を与えられた男女は結婚してはならないと定めるイスラム家族法に反する恐れがあるのではないかと疑問を呈した。


 同評議会の調査部門トップ、イナムラ(Inamullah)氏は、「将来の結婚問題を複雑化しないために、(母乳を与えられる)子どもの家族は、(母乳の)提供者が誰かを知っておく必要がある」と指摘。「結果は好ましいものになると確信している」と述べた。

【翻訳編集】AFPBB News

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