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ハンガリーが支援制限、ウクライナ難民に退去の危機

AFPBB News 2024年8月22日 9時30分

【AFP=時事】ハンガリーで21日に施行された改正法により、数千人のウクライナ難民が政府が補助する滞在施設から退去を迫られている。


 ナショナリストのオルバン・ビクトル(Viktor Orban)首相は6月、ロシアによる侵攻の影響下にあると見なされない地域から避難してきたウクライナ難民に対する国家支援を制限する法令に署名した。


 ハンガリー政府は現在、ウクライナ全州の約半数に当たる13州のみを、ロシアの侵攻の影響下にあると認定している。


 政府委員のパル・ノルベルト(Norbert Pal)氏は、ロシア・ウクライナ紛争開始から2年半がたった今、この変更は「合理的かつ適切」だと正当化。親政府系紙マジャールネムゼットに対し、「ハンガリーで再起したいと思った人々は、実現できている」と述べた。


 ハンガリーの移民支援団体ミグレイション・エイド(Migration Aid)によれば、民間の滞在施設では、支援の対象外となった難民の追い出しがすでに開始されている。


 AFPのフォトグラファーは21日、首都ブダペストの北に位置するコチ(Kocs)で、約120人の難民が警察の監視の下、滞在施設から退去させられるのを確認した。難民の大半は、大規模なハンガリー人コミュニティーがあるウクライナ最西端(Zakarpattia)州から来た女性と子どもだった。


 5人の子どもを連れ、昨年ハンガリーに逃れたマリナ・アミットさんはAFPに対し、「私たちは行く場所がなく、絶望的な状況にある」と語った。さらに「17歳の息子がいるから、ウクライナには帰れない」と述べ、ウクライナ軍に息子が徴兵されることを不安がっていた。


 5人の子どもを連れ、昨年ハンガリーに逃れてきたマリナ・アミットさんはAFPに対し、「行き場がなく、絶望的な状況にある」と語った。さらに「17歳の息子がいるので、ウクライナには帰れない」と述べ、帰国すればウクライナ軍に息子が徴兵されるのではないかと不安を吐露した。


 国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)は、政府が補助する滞在施設から今週、退去させされるウクライナ難民は2000~3000人に上ると推定している。


 UNHCRは声明で、今回の法改正は「就学への影響や雇用の喪失をもたらし、これまでの確かな統合の成果を危険にさらす」ものだとしてハンガリー政府に再考を促した。


 ハンガリーが受け入れているウクライナ難民の数は、東欧の他の欧州連合(EU)加盟国よりも少ない。UNHCRによると、ハンガリーに保護を申請しているウクライナ人は約4万6000人となっている。

【翻訳編集】AFPBB News

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