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ハリス氏敗因は何か 専門家が分析 米大統領選

AFPBB News 2024年11月7日 17時52分

【AFP=時事】経済政策、移民問題、バイデン政権の副大統領──ヒートアップした米大統領選の騒乱がようやく収束し始めた中、民主党候補のカマラ・ハリス副大統領が共和党候補のドナルド・トランプ前大統領の再選を阻止できなかった理由について、専門家が逆風を生んだ主要な要因を指摘している。

■経済の停滞

「経済こそが重要なのだよ、愚か者」

この言葉は、民主党の戦略家ジェームズ・カービル氏が、1992年の大統領選でのビル・クリントン氏の勝因について説明した際に広まった。

あれから30年。このフレーズは依然として有効だ。ジョー・バイデン政権下でインフレが進み、ハリス氏が有権者の支持を獲得できなかった背景には経済の停滞がある。

新型コロナウイルスの感染拡大後の高インフレで、世界中の与党が同様に敗北を喫している。

最近数か月の米国経済は着実に改善しているものの、さまざまな世論調査では依然として有権者の不満が広がっており、トランプ氏は選挙期間中に食料品やガソリンの価格上昇をめぐってハリス氏を執拗(しつよう)に攻撃した。

「有権者は今なおインフレを問題視している。経済学者のように前年比率で考えるのではなく、物価水準で考えているからだ」と英調査会社オックスフォード・エコノミクスのバーナード・ヤロス氏は指摘。

「必需品が家計の大幅を占めていることに有権者は不満を抱いている」とAFPに述べた。

■押し寄せる移民

米リッチモンド大学法学部のカール・トバイアス教授は、大方の予想を覆してトランプ氏が勝利した2016年の大統領選と同じく、移民問題は今回もトランプ氏にとって「明らかな勝因の一つ」だと述べた。

トランプ氏は公約で、バイデン・ハリス両氏の政権下で米国に流入した数百万人の移民を国外追放する大規模な計画を進めると明言している。

バイデン氏が厳格な大統領令を発令した結果、この数か月は不法入国が急減していたが、昨年の移民流入数は記録的なものとなったため、トランプ氏や共和党陣営はこれを「侵略」だと非難していた。

ハリス氏は、国境管理を強化する超党派の法案が提出されたにもかかわらず、政治的利益のためにトランプ氏が共和党議員への根回しで法案成立を阻止したと批判した。

最終的に、有権者が賛同したのはトランプ氏陣営だった。


■人口動態の変化

出口調査によると、ハリス氏は白人有権者の約40%、黒人有権者の80%以上、ヒスパニックおよびアジア系ではいずれも約半数の票を獲得した。

同じ出口調査では、トランプ氏は非白人有権者層に関しては、いずれも過半数を獲得していないものの、黒人有権者の支持は1桁台の伸び率を示し、ヒスパニックに関しては2桁台の伸びを見せた。これは民主党にとって非常に憂慮すべき傾向だ。

南カリフォルニア大学アネンバーグ・コミュニケーション・ジャーナリズム学部のロベルト・スロ教授は、「メキシコ系米国人男性、福音派、大学教育を受けていない労働者階級の間で、トランプ氏は着実に支持を伸ばした」と指摘した。

また、こうした傾向は「地理的には、メキシコ国境沿いや新たな移民流入の影響をダイレクトに受けた場所でも見られる」と付け加えた。

今回は、人工妊娠中絶の権利が主要な争点であったにもかかわらず、トランプ氏はすべての予想に反し、2020年よりも女性および若年層の支持も伸ばした。

■遅きに失した出馬

今月82歳になるバイデン氏は、6月のトランプ氏とのテレビ討論会で失態を演じ、党内からの強い圧力を受けて撤退を表明した。

直ちに後任候補の役割をハリス氏が引き継いだが、後れを取った選挙運動を立て直すために残された時間はわずか3か月しかなかった。

バージニア大学の政治学者ラリー・サバト氏は、「民主党の惨敗の責任の多くはバイデン氏にある。80代で再選を挑むべきではなかった。最終的には、ハリス氏に代理の短期決戦を任せることになり、時間が足りなかったことが証明された」と述べた。


■バイデン氏との差別化

ハリス氏は、支持率が低下していたバイデン氏との差別化を図るのに苦戦を強いられた。

しかし、10月8日、ABCのトーク番組でバイデン氏との相違点について問われた際に「思い浮かぶことは何もない」と回答してしまった。

バラク・オバマ元大統領の顧問を務めたデービッド・アクセルロッド氏は6日、CNNの番組であのやりとりがハリス氏にとって「致命的」だったと指摘した。

この好機をトランプ氏は逃さなかった。自身の選挙集会で、この時のハリス氏の映像を流し、多くのテレビ広告でもハリス氏の回答を強調した。

【翻訳編集】AFPBB News

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