【AFP=時事】米大統領選でのドナルド・トランプ前大統領の勝利後、選挙不正を主張する右派の偽情報は減少した。だが、今度は右派の手法を模倣した左派が荒唐無稽な陰謀論を主張し、民主的プロセスへの疑念をあおっている。
左派による現実の歪曲(わいきょく)は、政治の両極で誤情報が広まりやすくなっている状況を浮き彫りにしている。ソーシャルメディアの管理はますます行き届かなくなり、情報は混乱し、利用者が事実と虚構を見分けることを難しくしている。
大統領選中、トランプ氏と密接な関係にある実業家イーロン・マスク氏が所有するX(旧ツイッター)や、メタの対話型アプリ「スレッズ」などのSNSで広まった偽情報は、激戦州の不正集計に関する根拠のない主張から、トランプ氏が民主党の対立候補、カマラ・ハリス副大統領に勝つために「不正を行った」とする疑惑まで多岐にわたった。
AFPのファクトチェック担当者によると、左派寄りのSNSユーザーも、トランプ氏を支持するマスク氏がオーナーの宇宙開発企業、スペースXの衛星インターネットサービス「スターリンク」を使って集計を操作したとする、根拠のない主張を広めた。
偽情報の監視を専門とするセキュリティー企業、サイアブラのダン・ブラミー最高経営責任者(CEO)はAFPに対し、「左派による選挙不正の主張が、特に投票日以降、増加している。それらはボットネットワークによって増幅されている」と指摘。「偽情報や情報操作は、特定の政治イデオロギーに限って使用されるものではなく、公衆の認識に影響を及ぼすためにあらゆる立場で武器とされている。そのことを思い知らされる」と述べた。
民主党指導部は11月5日の大統領選は自由で公正だったと認識しており、ハリス氏当人も、ジョー・バイデン大統領も敗北を受け入れている。
だがメディア監視団体「ニュースガード」によると、投票終了からわずか数時間後、Xには「敗北を認めるな、カマラ」というハッシュタグが登場し、「不正」「いかさま」「盗まれた」といった言葉と共に3万件以上も投稿された。
■「情報戦争」
2020年にトランプ氏が敗北した際、根拠のない選挙不正の主張を熱心に広めたのは、右派の支持者らだったが、今回は左派寄りのSNS利用者がそれを踏襲した形だ。研究者はこれを「偽情報のバトン」と呼ぶ。
今回も投票日当日まで、SNS上には右派の主張が氾濫していたが、トランプ氏の勝利が決定的となるにつれ減少していった。
ニュースガードの政治担当エディター、サム・ハワード氏は「立場の逆転と言えるかもしれない」と語った。
「トランプ氏の勝利が明白になるにつれ右派による不正の主張は減少した。しかし今度は左派が、ハリス氏の敗北は正当だと信じない状況が生まれている」
SNSプラットフォームの多くが、信頼性やセキュリティーを管理するチームを減らし、偽情報を抑制するために実施していたコンテンツモデレーションの努力を縮小したため、虚偽の主張はチェックされることなく広がっている。
「右派の選挙否定派は実際の選挙結果によって大方、静かになったが、偽情報自体の問題がなくなったわけでも、突然消えたわけでもない」と、独立系メディア「フリー・プレス」のノラ・ベナビデス氏はAFPに語った。
「情報戦争は有害性を一段と増しており、それが根付く時間が与えられると、権威主義や偏見を助長する重要な構成要素として機能する」
【翻訳編集】AFPBB News
左派による現実の歪曲(わいきょく)は、政治の両極で誤情報が広まりやすくなっている状況を浮き彫りにしている。ソーシャルメディアの管理はますます行き届かなくなり、情報は混乱し、利用者が事実と虚構を見分けることを難しくしている。
大統領選中、トランプ氏と密接な関係にある実業家イーロン・マスク氏が所有するX(旧ツイッター)や、メタの対話型アプリ「スレッズ」などのSNSで広まった偽情報は、激戦州の不正集計に関する根拠のない主張から、トランプ氏が民主党の対立候補、カマラ・ハリス副大統領に勝つために「不正を行った」とする疑惑まで多岐にわたった。
AFPのファクトチェック担当者によると、左派寄りのSNSユーザーも、トランプ氏を支持するマスク氏がオーナーの宇宙開発企業、スペースXの衛星インターネットサービス「スターリンク」を使って集計を操作したとする、根拠のない主張を広めた。
偽情報の監視を専門とするセキュリティー企業、サイアブラのダン・ブラミー最高経営責任者(CEO)はAFPに対し、「左派による選挙不正の主張が、特に投票日以降、増加している。それらはボットネットワークによって増幅されている」と指摘。「偽情報や情報操作は、特定の政治イデオロギーに限って使用されるものではなく、公衆の認識に影響を及ぼすためにあらゆる立場で武器とされている。そのことを思い知らされる」と述べた。
民主党指導部は11月5日の大統領選は自由で公正だったと認識しており、ハリス氏当人も、ジョー・バイデン大統領も敗北を受け入れている。
だがメディア監視団体「ニュースガード」によると、投票終了からわずか数時間後、Xには「敗北を認めるな、カマラ」というハッシュタグが登場し、「不正」「いかさま」「盗まれた」といった言葉と共に3万件以上も投稿された。
■「情報戦争」
2020年にトランプ氏が敗北した際、根拠のない選挙不正の主張を熱心に広めたのは、右派の支持者らだったが、今回は左派寄りのSNS利用者がそれを踏襲した形だ。研究者はこれを「偽情報のバトン」と呼ぶ。
今回も投票日当日まで、SNS上には右派の主張が氾濫していたが、トランプ氏の勝利が決定的となるにつれ減少していった。
ニュースガードの政治担当エディター、サム・ハワード氏は「立場の逆転と言えるかもしれない」と語った。
「トランプ氏の勝利が明白になるにつれ右派による不正の主張は減少した。しかし今度は左派が、ハリス氏の敗北は正当だと信じない状況が生まれている」
SNSプラットフォームの多くが、信頼性やセキュリティーを管理するチームを減らし、偽情報を抑制するために実施していたコンテンツモデレーションの努力を縮小したため、虚偽の主張はチェックされることなく広がっている。
「右派の選挙否定派は実際の選挙結果によって大方、静かになったが、偽情報自体の問題がなくなったわけでも、突然消えたわけでもない」と、独立系メディア「フリー・プレス」のノラ・ベナビデス氏はAFPに語った。
「情報戦争は有害性を一段と増しており、それが根付く時間が与えられると、権威主義や偏見を助長する重要な構成要素として機能する」
【翻訳編集】AFPBB News