【AFP=時事】フランスのエマニュエル・マクロン大統領は20日、人種差別発言疑惑に直面した。大統領府(エリゼ宮)は疑惑を強く否定したが、マクロン氏は、サイクロンに見舞われたインド洋に浮かぶフランス海外県マヨットを訪問した際にも失言しており、舌禍騒動が続いている。
エリゼ宮の舞台裏に関する記事を連載している日刊紙ルモンドによれば、マクロン氏は野党の女性党首たちに対する性差別発言や、自身が任命したガブリエル・アタル元首相に関する同性愛嫌悪的なジョークをめぐっても非難されている。
18日付のルモンドによれば、マクロン氏は昨年、当時のオレリアン・ルソー保健相の前で行われた討論会で、「この国の救急医療の問題は、ママドゥと呼ばれる人々が大勢いることだ」と述べた。ママドゥは、西アフリカのイスラム系民族出身の男性に多い名前だ。
大統領府の担当者は「エリゼ宮は、報道前に大統領府の検証を受けていないこれらの発言を強く否定する」と述べた。
この記事を担当したルモンドの上級記者の一人、イバンヌ・トリッペンバッハ氏はX(旧ツイッター)に、「ルモンドは、自社が報じたすべての情報を擁護する」と投稿した。
大統領府が疑惑を否定する前に、複数の左派政治家がマクロン氏を強く非難。
極左政党「不屈のフランス」のコーディネーター、マニュエル・ボンパール氏はXで、「大統領によるこうした人種差別発言は、フランス共和国に対する侮辱。恥だ」と述べ、同党員の多くの怒りを代弁。「彼(マクロン氏)の退陣が待ち切れない」と続けた。
フランス共産党のイアン・ブラサート上院議員は「由々しき」発言だと述べた。
19日付のルモンドは続報で、同性愛者であることを公表していたアタル元首相時代の首相府について、マクロン氏が「ラ・カージュ・オ・フォール(別題:Mr.レディ Mr.マダム)」と呼んだとも報じた。「ラ・カージュ・オ・フォール」は、2人のゲイ男性が登場するフランスの人気舞台劇のこと。
マクロン氏はさらに、緑の党のマリーヌ・トンドリエ事務局長と、左派連合が首相として推薦していたリュシー・カステ氏を、女性を蔑視する言葉である「ココット(cocotte)」と呼んだとも報じた。
トンドリエ氏はXで「きのう、大統領がガブリエル・アタル氏について、同性愛嫌悪的な極めてショッキングな発言をしたことを知った」「きょうは性差別発言だ。あすが待ちきれない」と述べた。
■「国民に説教」
マクロン氏は、先週末にサイクロン「チド」で壊滅的な被害を受けたマヨット島を訪問した19日の発言でも物議を醸している。
マクロン氏は、フランスの災害対応を非難した群衆に向かって、「ここがフランス(の一部)でなかったら、この1万倍はひどいことになっていただろう」と述べた。
緑の党のサンドリーヌ・ルソー議員は、マクロン氏のマヨット島視察は「傲慢な態度で講釈を垂れるため」だったと非難した。
社会党のオリビエ・フォール第1書記はXに、「大統領によるあのような発言は許されない。(マクロン氏は)フランス領の他の場所でも、『フランス人であるだけで十分幸運なのだから、自分たちの身に起きた悲劇について文句を言うのはやめなさい』と国民に説教するのだろうか」と投稿した。
マクロン氏は就任当初も放言で知られ、求職中の若者に自分なら「道を渡るだけで」仕事を見つけられると言葉を掛けたこともある。
パリ政治学院のフィリップ・モロー・シボレー教授(コミュニケーション学)はAFPに対し、マクロン氏はいまだに「権威主義的と見られてきたこれまでのイメージをさらに損なうことになっても、ちょっとした一言で会話の主導権を握る」ことを好んでいると指摘。
マヨット島での発言が「大失態」に終わったのは、訪問の目的だった「共感と再建を訴えるメッセージがかすんでしまった」からだと説明した。
舌禍を招いたマクロン氏は今、微妙な時期にある。同氏が今夏に国民議会(下院)の解散・総選挙という大ばくちを打ったことで、フランスは政治危機に陥っている。
マクロン氏は2024年4人目の首相に、フランソワ・バイル氏を指名したばかり。
左派のフランソワ・ルファン議員は「あそこ(エリゼ宮)では、人種差別や同性愛嫌悪、性差別まで何でもありだ。すべてが金ぴかの宮殿に閉じ込められ、フランス国民の目も届かない。彼(マクロン氏)は国民に向かって一日中説教している」と批判した。
【翻訳編集】AFPBB News
エリゼ宮の舞台裏に関する記事を連載している日刊紙ルモンドによれば、マクロン氏は野党の女性党首たちに対する性差別発言や、自身が任命したガブリエル・アタル元首相に関する同性愛嫌悪的なジョークをめぐっても非難されている。
18日付のルモンドによれば、マクロン氏は昨年、当時のオレリアン・ルソー保健相の前で行われた討論会で、「この国の救急医療の問題は、ママドゥと呼ばれる人々が大勢いることだ」と述べた。ママドゥは、西アフリカのイスラム系民族出身の男性に多い名前だ。
大統領府の担当者は「エリゼ宮は、報道前に大統領府の検証を受けていないこれらの発言を強く否定する」と述べた。
この記事を担当したルモンドの上級記者の一人、イバンヌ・トリッペンバッハ氏はX(旧ツイッター)に、「ルモンドは、自社が報じたすべての情報を擁護する」と投稿した。
大統領府が疑惑を否定する前に、複数の左派政治家がマクロン氏を強く非難。
極左政党「不屈のフランス」のコーディネーター、マニュエル・ボンパール氏はXで、「大統領によるこうした人種差別発言は、フランス共和国に対する侮辱。恥だ」と述べ、同党員の多くの怒りを代弁。「彼(マクロン氏)の退陣が待ち切れない」と続けた。
フランス共産党のイアン・ブラサート上院議員は「由々しき」発言だと述べた。
19日付のルモンドは続報で、同性愛者であることを公表していたアタル元首相時代の首相府について、マクロン氏が「ラ・カージュ・オ・フォール(別題:Mr.レディ Mr.マダム)」と呼んだとも報じた。「ラ・カージュ・オ・フォール」は、2人のゲイ男性が登場するフランスの人気舞台劇のこと。
マクロン氏はさらに、緑の党のマリーヌ・トンドリエ事務局長と、左派連合が首相として推薦していたリュシー・カステ氏を、女性を蔑視する言葉である「ココット(cocotte)」と呼んだとも報じた。
トンドリエ氏はXで「きのう、大統領がガブリエル・アタル氏について、同性愛嫌悪的な極めてショッキングな発言をしたことを知った」「きょうは性差別発言だ。あすが待ちきれない」と述べた。
■「国民に説教」
マクロン氏は、先週末にサイクロン「チド」で壊滅的な被害を受けたマヨット島を訪問した19日の発言でも物議を醸している。
マクロン氏は、フランスの災害対応を非難した群衆に向かって、「ここがフランス(の一部)でなかったら、この1万倍はひどいことになっていただろう」と述べた。
緑の党のサンドリーヌ・ルソー議員は、マクロン氏のマヨット島視察は「傲慢な態度で講釈を垂れるため」だったと非難した。
社会党のオリビエ・フォール第1書記はXに、「大統領によるあのような発言は許されない。(マクロン氏は)フランス領の他の場所でも、『フランス人であるだけで十分幸運なのだから、自分たちの身に起きた悲劇について文句を言うのはやめなさい』と国民に説教するのだろうか」と投稿した。
マクロン氏は就任当初も放言で知られ、求職中の若者に自分なら「道を渡るだけで」仕事を見つけられると言葉を掛けたこともある。
パリ政治学院のフィリップ・モロー・シボレー教授(コミュニケーション学)はAFPに対し、マクロン氏はいまだに「権威主義的と見られてきたこれまでのイメージをさらに損なうことになっても、ちょっとした一言で会話の主導権を握る」ことを好んでいると指摘。
マヨット島での発言が「大失態」に終わったのは、訪問の目的だった「共感と再建を訴えるメッセージがかすんでしまった」からだと説明した。
舌禍を招いたマクロン氏は今、微妙な時期にある。同氏が今夏に国民議会(下院)の解散・総選挙という大ばくちを打ったことで、フランスは政治危機に陥っている。
マクロン氏は2024年4人目の首相に、フランソワ・バイル氏を指名したばかり。
左派のフランソワ・ルファン議員は「あそこ(エリゼ宮)では、人種差別や同性愛嫌悪、性差別まで何でもありだ。すべてが金ぴかの宮殿に閉じ込められ、フランス国民の目も届かない。彼(マクロン氏)は国民に向かって一日中説教している」と批判した。
【翻訳編集】AFPBB News