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エジプトとヨルダン元首、ガザ住民の強制移住を拒否

AFPBB News 2025年1月30日 10時9分

【AFP=時事】ドナルド・トランプ米大統領がパレスチナ自治区ガザ地区の住民をヨルダンやエジプトなどに移住させるべきだと発言したのを受け、エジプトのアブデルファタハ・シシ大統領とヨルダンのアブドラ国王は29日、ガザ住民の強制移住を拒否した。

シシ氏は、首都カイロで行ったケニアのウィリアム・ルト大統領との共同記者会見で、トランプ氏の発言に初めて公式に言及。

ガザに住むパレスチナ人を故郷から追放するのは「不当な仕打ち」であり、関与することはできないと主張。パレスチナ国家の樹立を支持するエジプトの従来の立場は「断じて譲れない」と付け加えた。

一方でパレスチナ国家とイスラエルが共存する「2国家解決」に言及し、「(エジプトは)2国家解決に基づく平和の実現を目指すトランプ大統領と協力する所存だ」「中東に公正で永続的な平和を確立する悲願をトランプ大統領なら実現できると信じている」とも述べた。

ヨルダンのアブドラ国王はベルギーのブリュッセルで、2国家解決に従い、ガザのパレスチナ人を故郷に留め、その正当な権利を保障する必要性について同国は「確固たる立場」を取っていると強調した。

1月19日にイスラエルとイスラム組織ハマスの戦闘をめぐる停戦が発効した後、トランプ氏はガザを「一掃」する計画を提唱。27日にこの案を再提示し、パレスチナ人に対してヨルダンやエジプトなどの「より安全な場所」に移住するよう求めた。

トランプ氏は同日夜、記者団に対し、シシ氏がガザ住民の一部を「引き受けてくれる」ことを期待しているとして、「われわれは彼ら(エジプトとヨルダン)を大いに助けた。だから彼らもわれわれを助けてくれると確信している」と述べた。

ガザ「一掃」計画は、中東各国の指導者から全面的に拒絶されただけでなく、ドイツやフランスからも「容認できない」と否定された。

だが、イスラエルの極右ベツァレル・スモトリッチ財務相は「素晴らしいアイデア」と絶賛。ベンヤミン・ネタニヤフ首相と協力し、「トランプ大統領の構想実現に向けて行動計画を用意」していると述べた。

2023年10月にイスラエルとハマスの紛争が始まって以来、エジプトとヨルダンはパレスチナ自治区ガザ地区とヨルダン川西岸からパレスチナ人を追放する計画について警鐘を鳴らしてきた。

シシ氏は、このような追放は「パレスチナ国家の根拠を断つ」ことになると繰り返し述べている。

エジプトとヨルダンは、外国からの援助に大きく依存しており、米国が最大の支援国となっている。中東における米国の主要同盟国でもある。

【翻訳編集】AFPBB News

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