【AFP=時事】ドナルド・トランプ米政権で政府効率化省(DOGE)を率いる実業家イーロン・マスク氏の采配の下、対外人道支援を管轄する国際開発庁(USAID)の本部が3日、閉鎖された。民主党は「明らかに違法」だなどと強く非難している。
USAIDのウェブサイトは先週末に停止し、職員はワシントンの庁舎への立ち入りが禁止された。
マルコ・ルビオ国務長官は同日の声明で、USAIDを自身の管理下に置くと発表。USAIDは「米国の利益を海外で責任を持って推進するという本来の使命から長らく逸脱している」とし、組織再編の可能性を含め、活動の見直しに着手すると述べた。
だが、ABCニュースによると、約600人の職員がコンピューターシステムにアクセスできなくなるなど、広範な混乱が生じている。
一部の民主党議員は「USAIDを救え、命を救え」と書かれた横断幕を持った約50人のデモ隊と共にUSAID本部ロビーへ立ち入ろうとしたが、警察に阻止された。
議員らは、選挙で選ばれていない大富豪のマスク氏にトランプ氏が政策の権限を委ねたことのほか、マスク氏には政府の主要な契約業者として明白な利益相反があることなどについて、非難の声を上げている。
ジェリー・コノリー民主党議員(バージニア州選出)は、マスク氏は議会によって設立された組織を閉鎖する法的権利を持たないと強く批判。「これは法律の問題であり、議会が対処すべき問題だ。選挙で選ばれていない億万長者のイーロン・マスクが扱う問題ではない」「USAIDを運営したいなら、トランプの指名を受けて上院に行け。承認を受けるのは難しいと思うが」と述べた。
■「権力の乱用」
米国の対外援助機関として、最貧国を含む世界約120か国で保健衛生や緊急プログラムに資金を提供しているUSAIDは、中国を含むライバル国との対外影響力争いにおいて、米国のソフトパワーを体現する重要な主体と見なされている。
一方、マスク氏は中国に広範なビジネス上の利益を有している。
トランプ氏はホワイトハウスで記者団に対し、マスク氏は「われわれの承認なしに何もできないし、何もしない」としながら、同氏と見解を共有すると明言。USAIDの閉鎖には議会の承認が必要だと思うかと尋ねられると、「そうは思わない。不正に関してはそうは思わない。やつらは狂っている」と答え、具体的な説明や詳細を一切示さないまま、2日連続でUSAIDを「不正」呼ばわりした。
クリス・バン・ホーレン民主党上院議員(メリーランド州選出)は、マスク氏の計画について「腐敗した権力の乱用」「われわれの敵への贈り物」であり、「明らかに違法」だと糾弾。「イーロン・マスクは(電気自動車大手)テスラの独裁者にはなれても、ワシントンで独裁者になろうとするのは無理だ。USAIDを閉鎖する権利はない」と語った。
予算権限は議会にあるが、マスク氏は自らが率いるDOGEが資金の使途を決定できると主張している。
USAIDの閉鎖を歓迎する一人が、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領の盟友であるドミトリー・メドベージェフ元大統領だ。メドベージェフ氏はX(旧ツイッター)でマスク氏に触れ、「@elonmuskによる賢明な動きだ。USAIDによる『ディープスロート(対外情報収集・提供)』を封じようとしている」と投稿した。
【翻訳編集】AFPBB News
USAIDのウェブサイトは先週末に停止し、職員はワシントンの庁舎への立ち入りが禁止された。
マルコ・ルビオ国務長官は同日の声明で、USAIDを自身の管理下に置くと発表。USAIDは「米国の利益を海外で責任を持って推進するという本来の使命から長らく逸脱している」とし、組織再編の可能性を含め、活動の見直しに着手すると述べた。
だが、ABCニュースによると、約600人の職員がコンピューターシステムにアクセスできなくなるなど、広範な混乱が生じている。
一部の民主党議員は「USAIDを救え、命を救え」と書かれた横断幕を持った約50人のデモ隊と共にUSAID本部ロビーへ立ち入ろうとしたが、警察に阻止された。
議員らは、選挙で選ばれていない大富豪のマスク氏にトランプ氏が政策の権限を委ねたことのほか、マスク氏には政府の主要な契約業者として明白な利益相反があることなどについて、非難の声を上げている。
ジェリー・コノリー民主党議員(バージニア州選出)は、マスク氏は議会によって設立された組織を閉鎖する法的権利を持たないと強く批判。「これは法律の問題であり、議会が対処すべき問題だ。選挙で選ばれていない億万長者のイーロン・マスクが扱う問題ではない」「USAIDを運営したいなら、トランプの指名を受けて上院に行け。承認を受けるのは難しいと思うが」と述べた。
■「権力の乱用」
米国の対外援助機関として、最貧国を含む世界約120か国で保健衛生や緊急プログラムに資金を提供しているUSAIDは、中国を含むライバル国との対外影響力争いにおいて、米国のソフトパワーを体現する重要な主体と見なされている。
一方、マスク氏は中国に広範なビジネス上の利益を有している。
トランプ氏はホワイトハウスで記者団に対し、マスク氏は「われわれの承認なしに何もできないし、何もしない」としながら、同氏と見解を共有すると明言。USAIDの閉鎖には議会の承認が必要だと思うかと尋ねられると、「そうは思わない。不正に関してはそうは思わない。やつらは狂っている」と答え、具体的な説明や詳細を一切示さないまま、2日連続でUSAIDを「不正」呼ばわりした。
クリス・バン・ホーレン民主党上院議員(メリーランド州選出)は、マスク氏の計画について「腐敗した権力の乱用」「われわれの敵への贈り物」であり、「明らかに違法」だと糾弾。「イーロン・マスクは(電気自動車大手)テスラの独裁者にはなれても、ワシントンで独裁者になろうとするのは無理だ。USAIDを閉鎖する権利はない」と語った。
予算権限は議会にあるが、マスク氏は自らが率いるDOGEが資金の使途を決定できると主張している。
USAIDの閉鎖を歓迎する一人が、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領の盟友であるドミトリー・メドベージェフ元大統領だ。メドベージェフ氏はX(旧ツイッター)でマスク氏に触れ、「@elonmuskによる賢明な動きだ。USAIDによる『ディープスロート(対外情報収集・提供)』を封じようとしている」と投稿した。
【翻訳編集】AFPBB News