Infoseek 楽天

「何をもってフランス人か」 仏首相、移民めぐる国民的議論呼び掛け

AFPBB News 2025年2月8日 15時13分

【AFP=時事】フランスのフランソワ・バイル首相は7日、移民問題と「何をもってフランス人というのか」について国民的議論を呼び掛けた。同氏は先月、フランスに移民が「殺到している」と発言して物議を醸したばかり。

発端は、ジェラルド・ダルマナン法相が6日、フランスで生まれた子どもにフランス国籍を自動的に与える出生地主義を廃止するため憲法を改正するべきだと訴えたことだった。

バイル氏は、話し合うべきテーマが「狭過ぎる」と指摘し、代わりに国籍について、より広範な議論を呼び掛けた。

同氏はラジオ局RMCに対し、「この問題が長年くすぶってきたのは明らかだ」「何をもってフランス人というのか」と語った。

「(フランス人であることで)どんな権利を与えられるのか。どんな義務を課されるのか。どんなメリットがあるのか。国民共同体の一員となった時、どんな誓約をするのか」と続けた。

議論の詳細は詰める必要があるが、「永久に先延ばし」するべき問題ではないと訴えた。

対移民強硬派のブリュノ・ルタイヨ内相は、バイル氏の意見に「全面的に同意する」と表明。

フランス人になりたい外国人は、フランス共和国の価値観を守り、フランス国民と「運命共同体」にならなければならないとの見解を示した。

バイル首相は1月27日、「外国人の貢献は、数で釣り合いが取れている限りは国民にとってプラスだ」「だが、(移民が)殺到している、もはや自分たちの国や生活様式、文化とは言えないと思うようになると、たちまち拒絶反応が現れる」と発言。

このような感覚はまだ広まってはいないが増えつつあり、「一部の都市や地域」は既にそうした状況に陥っていると付け加えた。

この発言は、左派や首相が属する中道派から激しく批判された。一方で、保守派(右派)の一部や極右からは称賛された。


■「再考が必要」

フランスは長きにわたって難民や移民を歓迎してきた。だが、難民認定希望者の増加や手頃な価格の住宅の不足、生活費の高騰が社会的な緊張をあおっている。

フランスは血統主義と出生地主義の両方に基づいて国籍を付与しているが、出生地主義に関する法律は年々、大幅に厳格化されている。

現在、フランスで外国人の両親から生まれた子どもは13歳になった時にフランス国籍を与えられるが、8歳以降のほとんどの期間をフランスで過ごしていることが条件とされる。

出生地主義の問題は最近、インド洋のフランス海外県マヨット(マホレ)に隣国コモロからの移民が大量流入していることで、再び注目を集めている。

マヨットはフランス本土の基準からすれば貧しいが、コモロはさらに貧しいため、より良い生活を求めて大勢が危険な海を渡ってマヨットに流入している。

国立統計経済研究所(INSEE)によれば、マヨットの人口は約32万人。2019年の調査では、その約半分が外国人で、3分の1がフランス領のマヨット生まれだった。

議会は6日、マヨットで国籍付与を制限する法案を可決した。だが、他の地域では制限していないため、ダルマナン法相は、憲法に定められた出生地主義の権利は見直されるべきだと訴え、場合によっては国民投票に委ねる考えを示した。

バイル首相はマヨットと南米のフランス領ギアナについて、「そこで子どもを産めば、子どもはフランス人になれると考えて大勢の人々がやって来ている」と指摘。「こうした事態を再考する必要がある」と続けた。

【翻訳編集】AFPBB News

この記事の関連ニュース