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『猿の惑星/キングダム』なぜ“あのシーン”から始まるのか…監督が語るシーザーの重要性

シネマトゥデイ 映画情報 2024年5月12日 17時10分

 映画『猿の惑星/キングダム』(全国公開中)を手がけたウェス・ボール監督が来日インタビューに応じ、本作の舞台となる300年後の世界、前三部作の主人公だった猿・シーザーの重要性について語った。(以下、映画冒頭の内容を含みます)

 名作SFをリブートした『猿の惑星:創世記(ジェネシス)』からはじまった前三部作では、ウィルスによって人間が絶滅の危機に瀕し、反対に猿は高度な知能と言語を経て地球を支配するようになった。『猿の惑星/キングダム』では、猿と人間の立場が逆転してから300年後の世界を舞台に、新たなキャラクターたちの物語がつづられる。

 ボール監督は当初、三部作に続く新作を手がけることを躊躇していた。「大事なことはシーザー亡き後の世界へ早送りすること。彼のレガシーに何が起きたのか、新たな世界を探る興味深い可能性が見えてきたんです」と三部作の時代からタイムジャンプすることで、シリーズの新たな道が開けたという。

 「タイムジャンプによって、観客にも『猿の惑星』の世界観を再発見してもらうことができます。新たな主人公となるノアは、かつて猿を導いたシーザーや、猿と人間との関係性、人間社会がどのように終末を迎えたのか、自分の世界について全く理解していません。このアイデアが浮かんだ時、全く新たな試みができると思いました。ただ、お金を稼ぐための続編ではなく、新しいことに挑戦することに意味があったのです」

 キャラクターも一新されたが、三部作のレガシーは本作にも引き継がれている。その証拠に、映画冒頭では、三部作完結編『猿の惑星:聖戦記(グレート・ウォー)』で名誉ある死を遂げたシーザーの葬儀が描かれる。

 ボール監督は「亡くなったシーザーこそが、この映画の始まりなんです。ほんのわずかなシーンですが、猿が伝説になった瞬間です」と冒頭シーンの狙いを明かす。「この映画では、シーザーが遺したものをさまざまな角度からのぞいていきます。観客に、この物語の起源がどこなのか、思い出させるための効果的な手段です」

 ちなみに、冒頭のシーザーは三部作で同キャラクターを演じたアンディ・サーキスではなく、別の役者を起用したとのこと。「アンディを寝かせたままにするわけにはいきませんでした(笑)。彼をそのためだけに呼ぶのは、申し訳なかったんです」

 それでも、アンディは本作の製作にも関わっており、脚本の内容にも満足していたそうだ。「アンディは強力な助っ人です。この方向性で正しいのか、私は何をするべきなのか、助言してくれました。モーションキャプチャーについても話し合ったり、彼と一緒に企画開発できてとても楽しかったです。彼抜きでは、この映画は成立しませんでした」とボール監督は振り返っていた。(取材・文:編集部・倉本拓弥)

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