戦後70年にあたる2015年に劇場公開された、塚本晋也監督作『野火』が、東京・渋谷のユーロスペースをはじめ全国30館（7月19日現在）で、終戦記念日を中心に、10年目のアンコール上映を迎えることが決定した。
『野火』は、大岡昇平の同名小説を原作に、第2次世界大戦末期のフィリピン・レイテ島をさまよう飢餓状態の日本兵を通して、戦争の恐怖を映し出した作品。塚本監督が構想から20年の歳月をかけて完成させ、2014年にベネチア映画祭コンペティション部門に出品。翌年に全国83館で劇場公開され、ロングランを記録した後も「毎年終戦記念日に上映されるような映画にしたい」という塚本監督の思いに共感した劇場でアンコール上映を重ねてきた。
夏ごとに上映を重ねてきたアンコール上映もいよいよ10年目。今年は渋谷・ユーロスペースのトークに塚本監督と出演者でもあるリリー・フランキーの登壇が決定。さらに小倉昭和館では野坂昭如さんの著作「戦争童話集」の絵本を手がけたイラストレーターの黒田征太郎と塚本監督とのクロストークも開催する。各劇場の上映予定、イベント予定等実施の詳細は劇場HP、『野火』オフィシャルサイト、SNSにて随時発表される。
アンコール上映に向けた塚本監督のコメントは以下の通り。（編集部・入倉功一）
塚本晋也監督コメント
戦後70年から上映を開始した「野火」。 毎年30館以上の映画館さんが夏の終戦記念日を中心に上映をし続けてくださっています。 1年1年の積み重ねでしたが、こうして振り返ると早10年。10年も『野火』を上映してくださるなんて、思えば驚くべきことです。この映画を大切に思ってくださった劇場さん、そして観に来てくださったお客さまに心より感謝します。
さて、10年経過しましたが、世の中への不安は相変わらず募るばかりです。 果たして「戦前」とまで言われ始めた今の状況は、後戻りできるところにいるのでしょうか。そんな中でも、祈りの気持ちは確実に多くのお客さまの心の中に住むことができたと思っております。どうか「野火」に込めたこの祈りが、忘れ去られることのないようにと強く願うばかりです。 10年もの間、本当にありがとうございます。
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