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忽那汐里が語る日本とハリウッドの違い…主軸を移して7年「ようやく少し慣れてきた」

シネマトゥデイ 映画情報 2024年7月23日 8時5分

 2019年に所属事務所を退社してハリウッドに主軸を移した女優の忽那汐里がインタビューに応じ、この7年間で「ようやく向こうのシステムに少し慣れてきた」という現状と、全てが役者主導のハリウッドの醍醐味などを語った。

 現在、『デッドプール2』に続いてマーベル・ヒーローのユキオ役でマーベル大作『デッドプール&ウルヴァリン』(7月24日公開より世界最速公開)に出演しているほか、SFドラマ「インベージョン」シリーズにメインキャストの一人としても出演している忽那。この7年について、「今住んでいるのは日本なのですが、振り返ってみると確かに海外の作品は途切れず続けられていますね。でも初めてハリウッドのオーディションを受けた時もそうですが、『ハリウッドで売れるぞ!』とか『絶対に足跡を残してやる!』みたいな思いは別になくって、いつだって流れのままに、自分がその時に興味のある方向に意識を向けてやっているだけなんです」と気負うことなくやって来たと振り返る。

 「もちろんオーディションを何十本やっても受からない時期もあったのですが、根がすごくポジティブなんです。それに“今はこの作品を目指したい”“この役を勝ち取りたい”という目標がずっとあったので、この数年は楽しかったです」と楽しみながら着実に実績を重ねてきた。そして今、ある境地に達したという。「今も(新作の)現場に入っているのですが、ようやく向こうのシステムに少し慣れてきたって思えたんです。やっぱり時間はかかりましたね。日本とは全然勝手が違うので、その場その場で『こんな感じかな?』とわからないながらも切り抜けて行ったら、今になってなんとなく慣れてきたという。そういうところに到達できたので、これからもそのままやっていきたいなと思っています」

 日本とハリウッドでは何がそこまで違うのか? 忽那は「本当に細かいちょっとしたこととか全部なんですけど、例えば日本だと所属していた事務所があって、どこへでも車を出してくれて、現場にもマネージャーが付いてきてくれてっていう、本当に芝居にだけ集中すればいい環境があったのですが、こちらではもちろん現地も一人。空港に着いてからの足とか、そんな本当にちょっとしたことなんですけど、最初はどうすればいいのかわからなかったり」と笑う。

 さらにハリウッドは作品の撮影期間が長いだけでなく、撮影を終えた後には世界各国でのプレミアなどもある。「今の現場にも初めて長期で家を空けることになった役者さんがいるのでそういう話をたくさんしているのですが、やっぱり生活がすごく変わるんです。みんな最初は『ハリウッドでやってやる!』という野望を持ってやって来ると思うのですが、実際に家にいない期間が長く、犠牲にするものがすごく多い。でもそれって誰も教えてくれなくて、実際に行って初めて『え、どうしよう……』みたいな(笑)。事前に学ぶ術や早道なんてなくて、ただ経験して少しずつ慣れていかなくちゃいけない。そういう生活や流れといったものを全部一通り、今はなんとなく学べたかなって感じですね」

 犠牲にするものは多くとも、その分やりがいも大きい。ハリウッドは全てが役者主導というのも、忽那が魅力に感じている点だ。「エージェント、マネージャー、エンターテインメント弁護士みたいな方もそれぞれいるのですが、作品選びの決定権は全て役者にあるんです。日本の事務所にいた時は、もちろん話し合ったりはするのですが、ある程度チームで考えていく感じでした。でもハリウッドでは、自分で選択していった結果が、目に見えて自分のキャリアになる。自分に対しての責任感がすごく大きくなって、最初の頃はそれが一番新鮮でした。決定権がなかったところから、急に全部与えられたので。自分を客観的に見て、自分が行きたい方向に自分を確実に誘導していかないといけないんです」

 突然全ての選択肢が目の前に並ぶことになっても、自分の中に確固とした軸が出来ていた忽那は迷うことはなかった。「日本ではいいこともいっぱい学ばせてもらったのですが、自分で作品を選べないことには多少フラストレーションがあって思うところもあり、ハリウッドに行った時にはもう意思が明確だったんです。マネージメントを決める時からそうでしたし、オーディションに何個か同時に受かって『どの作品にする?』となった時も、作品の大きさとかではなく、自分が本当にやりたいこと、仕事をしたい人たち、そういうことでちゃんと、確実に、迷わず選択できている気がしています。それは身に付いていてすごくよかった、日本での経験があったからこそのことかなと思いますね」

 「アメリカだとベテランの役者さんとかでも皆オーディションなので、今後もオーディションというのはずっと続いていくと思っていますし、いまだに全然落ちることもあります」という忽那だが、それで心折れることはないという。「もちろん『絶対にわたしがやりたい!』『わたしが演じたら面白くできる気がする!』という気持ちで受けた時に落ちると、『あれ、感覚がずれていたかな?』とは思いますが、自分に対する“否定”という風には受け取らないんです。『まあ違ったのかな、今回は』という感じで捉えていますね。視点を変えるのがすごく大事だと思います」とオーディションを受ける上での心構えを明かす。

 「オーディションに落ちたって、それは人生における失敗ではないし、その人自身に対する否定でもないんです。同じ役、同じセリフを演じるにしても、役者が変わることによって絶対に違いが生まれて、そこにはその人の生きざまが反映されます。そういう意味で、オーディションで100%ちゃんと自分らしさを出した上で受からなかった場合は、『まあ、今回のこの役には自分は違ったんだな』という風に捉えているっていう感じですね」

 そんな忽那が『デッドプール&ウルヴァリン』で演じているユキオは、前作『デッドプール2』におけるウェイド/デッドプール(ライアン・レイノルズ)とのキュートなやり取りで多くのファンを獲得した、底抜けにかわいくハッピーなキャラクターだ。忽那は「日本でも気が強く、真剣という感じの役が多かったので、あんまりやったことのない系統でした。『インベージョン』と両方観てくれた人が『両極端なことをやっている女優』みたいな風に言ってくれて、確かに、と。“究極の陽”という感じの役は滅多になくて、そこがファンが気に入ってくれた部分だと思うんです。見た目がアジア人のクリーシェだと言う人もいますが、わたしはああしたアニメの文化というものも確実に日本の文化であると思っていますし、いい意味でそういうレペゼン(代表、象徴)みたいな感じで捉えていて、巡り合えてよかった役だなと思います」と語る。

 芯があって地に足の付いた忽那は、ユキオとはいい意味で好対照に思えるが、本人いわく自分の中にはユキオっぽさもあるとのこと。「友達の前ではあると思います、たまに!(笑) でも元がサバサバしているので、あれはわたしの中でもレアキャラな感じです」と笑っていた。ポジティブに、しなやかに、それでいてぶれることなくハリウッドで挑戦を続ける忽那に期待したい。(編集部・市川遥)

映画『デッドプール&ウルヴァリン』は7月24日(水)より世界最速公開

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