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『仮面ライダーガッチャード』田崎竜太監督、劇場版で新たな試み ガヴ最速登場にも変化「情報量はいつもより多い」

シネマトゥデイ 映画情報 2024年7月25日 7時3分

 放送中の特撮ドラマ「仮面ライダーガッチャード」(テレビ朝日系・毎週日曜午前9時~)の集大成を飾る映画『仮面ライダーガッチャード ザ・フューチャー・デイブレイク』が劇場公開される。テレビシリーズに続いてメガホンを取った田崎竜太監督(崎はたつさきが正式表記)がインタビューに応じ、本作で新たに挑戦した試みや、キャストの成長、映画の見どころについて語った。(取材・文:編集部・倉本拓弥)

 一ノ瀬宝太郎/仮面ライダーガッチャード(本島純政)たちは、時空ゲートを通じて未来から襲来した敵軍団の攻撃を受ける。未来では、かつて宝太郎たちの窮地を幾度も救った20年後の宝太郎=仮面ライダーガッチャードデイブレイク(DAIGO)が闇の錬金術師・グリオン(鎌苅健太)と戦い続けている。未来の危機を察知した宝太郎たちは、“ギガントライナー”で時空を超え、20年後の宝太郎が待つ未来へと向かう。

未来の宝太郎がつける眼帯の意味

Q:劇場版のお話がきた時には、仮面ライダーガッチャードデイブレイクがメインで登場することは決まっていたのでしょうか? ストーリーのコンセプトや構成について教えてください。

 ガッチャードデイブレイクがテレビシリーズに登場した段階で、劇場版がガッチャードデイブレイクの話になるというのは決まっていました。コンセプトとしては、宝太郎、九堂りんね(松本麗世)、加治木涼(加部亜門)も含めて、“ひと夏の冒険”という感じが出ればいいなと思いました。劇場版で異世界に行くストーリーはよくある展開ですが、テレビシリーズの物語と直結すると、本編を観ていないとわからなかったり、どうしても無理があります。テレビシリーズ未見のお客さんにも楽しめるという構成で、「番外編」という形になっています。

Q:DAIGOさん演じる未来の宝太郎について、キャラクター作りや演出面でのこだわりを教えてください。

 純政が演じる宝太郎が、どう成長すればDAIGOさん扮する未来の宝太郎になるのか、そのリアリティーをつけていくことを意識しています。過去に戻って別の世界が派生し、世界線が2つに分かれることは「仮面ライダーガッチャード」におけるタイムトラベルの法則性で、そういったところをお客さんに理解してもらいつつ、純政とDAIGOさんの宝太郎がこんなにも違うんだということを、感じていただきたいなと思います。

Q:未来の宝太郎は、右目に眼帯をつけていますね。

 劇中では眼帯をした純政も登場します。昔起きた事件に由来するアイテムなので、純政とDAIGOさん双方が装着しているんです。時間軸が2つに別れ、2種類の宝太郎が発生したことを眼帯というサインでわかりやすくしたかったというのが1番の目的です。また、眼帯をすることで片目を失うほどの激しい戦いをしてきたという、宝太郎のもう1つのアナザーストーリーも読み取れます。仲間が次々と死んでいった、悲劇的な人生を歩む宝太郎を描こうとしています。

Q:DAIGOさんはテレビシリーズには声のみで出演となりましたが、未来の宝太郎のキャラクター像は、テレビシリーズの頃にある程度固まっていたのでしょうか?

 あの時点で、未来の宝太郎のキャラクター像ができあがっていたかというと、そうではありません。崩壊した未来から来た宝太郎という、漠然としたキャラクターの背景はできていました。

Q:劇中では、2人の宝太郎が物語の中心人物となります。2人の関係性について、注目ポイントを教えてください。

 お子さんやご両親、特撮ファンなど、これから長い人生を歩む方が観客となるので、例えば「人生ではこんなこともあるかもしれない」という振り幅を感じていただきたいです。辛いことに直面している方がいたら、この映画を観た時に「過去の自分が今のあなたを見たら、どう思いますか?」ということまで想像できると思います。一度過去に立ち返れば、「あの時どうだったかな?」と当時の志ややる気を取り戻せることだってあるかもしれません。

子供たちがキャラクターを応援できる仕掛けを採用

Q:田崎監督が手がけた『劇場版 仮面ライダーアギト PROJECT G4』(2001)から23年が経ちますが、当時から現在まで、仮面ライダー劇場版の製作にはどのよう な変化が見られますか?

 スタッフに若い方や女性が増えた気がします。「アギト」の頃はかなり手探りでやっていましたね。16ミリや35ミリフィルムで仕事していた人たちが、「クウガ」からビデオになって、平成仮面ライダーシリーズ2年目の「アギト」では、ビデオカメラで映画を撮ることが初めてだったんです。いろんな問題が起きて、それを1つずつ潰して公開に辿り着いたので、そういった目に見えない大変さはありました。

 いまでは、iPhoneで映画が撮れる時代になり、本作でも実際にiPhoneで撮影したカットがいくつか登場します。360度カメラやドローン撮影も当時はなかったので、技術面でも当時とは全く異なります。

Q:本作で田崎監督が新たに挑戦したこと、目標として掲げていたことはありますか?

 「映適」(*日本映画制作適正化認定制度:「映像制作の持続的な発展に向けた取引ガイドライン」に基づき制作された“適正な作品”であることを認定する制度)マークをいただくことです。映適の第一号作品が映画『仮面ライダーギーツ 4人のエースと黒狐』で、自分が映適ルールで映画を撮ることが始めてだったので、それは1つのチャレンジでした。映適は、予算や日数を増やして、休みながら仕事をして、健康な状態でいい映画を撮りましょうということを掲げているので、いかに効率よく映画を完成させるのかが挑戦的ではありました。

Q:本作では島根県でロケが行われ、出雲市や雲南市で撮影されたともお聞きしています。

 出雲市や雲南市での撮影もチャレンジでした。仮面ライダー映画にはあまり観光地が登場しないのですが、雲南市の菅谷たたら山内は、今回の撮影場所に含まれています。仮面ライダー映画に合う風景を両市から選ばせていただき、ロケ地として使わせていただきました。

Q:そのほか、製作面で挑戦的だったことはありますか?

 挑戦という意味では、プリキュア映画で見られるような、劇場の子供たちがキャラクターを応援する仕掛けを仮面ライダーでもやってみました。子供たちに「応援してほしい」ということを呼びかける、コール&レスポンスみたいなコーナーがあります。子供たちがどうやって声を出してくれるのか、今から楽しみです。ガッチャードは、高校生がたまたま力を手にしたことで変身した仮面ライダーなので、観客も「頑張れ」と声をかけたくなるんですよね。そういった点でも、本作で応援を取り入れたのは正しい選択肢だと思っています。

先輩ズに見せ場を作りたかった

Q:本作には新ライダー「仮面ライダーガヴ」が最速登場することも、すでに発表されています。ガヴの演出について、注目ポイントを言える範囲で教えてください。

 毎年イントロダクションとして新ライダーが登場しますが、ガヴに関しては、いつも以上にいろんなことが見られると思います。得られる情報量はいつもより多いです。「仮面ライダーガヴ」の撮影が例年より早めにスタートしており、映画の撮影に来た時はCGなどもかなり仕上がっている状態だったので、そういった部分もいろいろ盛り込まれていると思います。

Q:テレビシリーズも残り数話となりました。主演の本島さんをはじめとするキャスト陣の成長は、田崎監督にはどのように映っていますか?

 純政はスタート当時より随分と成長して、一人前の俳優さんになったと思います。顔つきも変わっていますね。麗世ちゃんも同じです。今回、実は麗世ちゃん演じるりんねが重要な役割を担っているので、麗世ちゃんファンは必見です。

Q:銀杏蓮華(安倍乙)&鶴原錆丸(富園力也)の“先輩ズ”も大人気です。

 本作では、蓮華はズキュンパイア、錆丸はUFO-Xを憑依させて戦いますが、それはテレビシリーズで彼らとケミーの心の交流が描かれていたので、特別な心の絆があってこそ成立した形態だと思います。また、今回は先輩ズに見せ場をなるべく作りたいと思っていました。先輩ズも一緒に戦っている感じが「仮面ライダーガッチャード」らしさだと思うんです。先輩ズは錬金術師であり、自分たちも錬金術は使えるので、「ウルトラマン」作品におけるウルトラマンと地球防衛隊のような、仮面ライダーと錬金術師たちが協力して戦う姿勢を目指しました。

Q:最後に、映画を楽しみにしているファンにメッセージをお願いします。

 メインキャストはもちろん、ゲストキャストとして出演する小島よしおさんの活躍にも注目していただきたいです。海パン姿で白衣を着ていますが、白衣なしの状態も登場します。20代のスタッフは、子供の頃に見た小島よしおさんの姿を目の当たりにしてかなり興奮していましたね。もちろん、ガッチャードファンのお子さんたちも、小島さんと一緒に楽しんでいただける部分もあるので、ぜひ楽しみにしていてください。

映画『仮面ライダーガッチャード ザ・フューチャー・デイブレイク』は7月26日全国公開(『爆上戦隊ブンブンジャー 劇場BOON! プロミス・ザ・サーキット』との2本立て)

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