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78歳の伝説的アクションスター“和製ドラゴン”倉田保昭、幻の傑作が公開!「パワーを感じていただけたら」

シネマトゥデイ 映画情報 2024年7月27日 16時46分

 “和製ドラゴン”倉田保昭の幻の傑作『帰って来たドラゴン』の公開記念舞台あいさつが27日に新宿武蔵野館で行われ、倉田が映画『るろうに剣心』シリーズなどで知られるまな弟子のアクション監督・谷垣健治と出席、78歳の今もアクション俳優として現役であることへの思いなどを語った。

 倉田は、1970年代前半に数多くの香港映画に出演し、アクションスターとして国際的人気を得た伝説的アクションスター。1974年に日本に凱旋帰国を果たした後は、テレビドラマ「闘え!ドラゴン」や「Gメン'75」などにレギュラー出演。その後も『七福星』『フィスト・オブ・レジェンド/怒りの鉄拳』『レジェンド・オブ・フィスト 怒りの鉄拳』『激突!キング・オブ・カンフー』など数多くの映画でアクションを披露してきた。

 今年は倉田が1974年に日本に凱旋してから50年の節目の年ということで、代表作『帰って来たドラゴン』(1974)が2Kリマスター完全版として劇場公開されることになった。同作は清朝末期を舞台に、秘宝“シルバー・パール”をめぐって最強の強者たちが腕を競い、壮絶な激闘とだまし合いを繰り広げるアクション映画だ。

 この日のチケットは完売。映画上映後、ステージに登壇した倉田は「50年前の映画というところで、わたしもちょっと不安なところはあるんですがいかがでしょう? 古くささはなかったですか?」と呼び掛けると大きな拍手が。そんな観客に笑顔を見せた倉田は「パワーを感じていただけたらありがたいなと思っています。CGもない時代ですから。今やれと言われても、とてもできないですが。ありがとうございます」とあいさつ。50周年にちなみ、この日の衣装は50年前に仕立てたものだといい、「撮影ではなく、イベントか何かのためのもので。たぶんブルース・リーの衣装がカッコいいなと思って作ったんじゃないかな」と友人であるブルース・リーについて言及するひと幕もあった。

 一方、観客と一緒に映画を鑑賞していたという谷垣は「やっぱり面白いですよね。神様がジャンプ力の調合を間違えてしまったような二人(倉田と主演のブルース・リャン)が延々と戦っているというのがいいなと思いました」としみじみ。「この映画を見直すたびに今はできないなと思いますね。役者にもやらせられないし、やれる役者もいない。僕らも、この方々が作ったレールの上に乗ってアクション映画を作っていますけど、やはりいろんな工夫をしないと駄目なので。でもこの映画は役者の元の素材を生かした映画だと思います。ブルース・リーが間の勝負だとしたら、これは手数の多さというか。今のアクション映画もだんだん手数が多くなっているんですが、戦って、走って、と。ある意味、アクション映画のお手本のような映画」と本作の意義を語った。

 本作の製作・監督・脚本を手掛けたウー・シーユエンは、『ドランク・モンキー/酔拳』でジャッキー・チェンをブレイクさせたほか、『ワンス・アポン・ア・タイム/天地大乱』『グランド・マスター』など香港映画史に残る重要作品を数多く製作した香港映画界の重鎮。長らく幻の作品とされていた今回の2Kリマスター版上映が実現したのも、彼の協力があってのことになる。

 倉田は「先週、香港にウー・シーユエンさんに会いに行きました。二人だけで5時間くらい話した中で、この映画の話も出て。当時、中国は文化大革命が残っていて、国境があったので行き来できないような時代で。この映画は中国大陸がすぐ傍に見える小島で撮影したのですが、向こうを見ながら『ウー・シーユエンのバカヤロー、なんでこんなキツい撮影をさせるんだ』なんて言っていましたよ。ホテルもないような場所なので、たまの休みに船に乗って、マカオでおいしいものを食べた記憶がありますね」と笑って振り返った。

 今回の『帰って来たドラゴン』の上映では、撮影時77歳だった倉田が迫力のアクションを披露する新作短編『夢物語』(8月9日からは続編の『夢物語・奪還』)が同時に上映される。「コロナであまり撮影もないので。77歳になってどれくらい動けるか。竹やぶを借りてやってみようということで始まった。それで竹やぶにこもって蚊に食われながら立ちまわりをした。ただどこで配信するというのも決まっていなかったんですけど、海外の映画祭に出品したら、インドのレイクシティ国際映画祭で最優秀短編映画賞を、スペインのアジアンサマーフィルムフェスティバルで特別賞をいただいたり」と振り返った倉田。

 「むしろ50年たってスピードが早くなっているのでは」と舌を巻く谷垣は、「本当にすごいとしか言いようがない。俳優として現役バリバリという感じで。まったく変わらないところがすごい」と師の変わらぬアクションへの情熱に感激していた。(取材・文:壬生智裕)

映画『帰って来たドラゴン』は新宿武蔵野館ほかにて全国順次公開

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映画『帰って来たドラゴン』公式サイト
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