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『キングダム』騰役・要潤、ファン待望のシーンの裏側を語る

シネマトゥデイ 映画情報 2024年7月29日 7時15分

 原泰久の人気漫画を山崎賢人(※「崎」は「たつさき」)主演で実写映画化したシリーズの第4弾『キングダム 大将軍の帰還』(公開中)で、大沢たかお演じる王騎将軍を支える副官・騰(トウ)を演じた要潤が、シリーズ最終章の公開にあわせて、出演オファーを受けた理由や役づくりの過程をあらためて振り返った(※一部ネタバレあり)。

 紀元前の中国春秋戦国時代が舞台の本シリーズは、天下の大将軍になる夢を抱く戦災孤児の信(山崎)が、秦国の若き国王・エイ政(後の始皇帝/吉沢亮)の目指す中華統一のために他国との激戦に身を投じ、武将として成長していくストーリー。要の演じた騰は、王騎を支える側近として第1作から行動を共にしてきた副官。王騎は主人公の信も憧れる秦国随一の大将軍であり中華全土にその名を轟かせているが、騰は常に王騎の傍に居て、その信頼も厚い部下であること以外は謎に包まれた人物とされてきた。その騰が本作では武将としての真の実力を発揮することとなる。

 これは原作通りの展開で、原作ファンであれば騰が重要キャラであることは知っているが、未読の人にとっては、これまで活躍の場がほとんどない役柄に要がキャスティングされていることが不思議だったかもしれない。特に2019年公開の第1作の制作時点ではシリーズ化は決まっておらず、シリーズ化されても騰が活躍する今作のエピソードまで実写化できるのかは、要自身もわからなかったはず。それでも騰役のオファーを引き受けた理由について、要は次のように振り返る。

 「やっぱり『キングダム』の原作は僕も読んでいて好きでしたし、大人気漫画でしたから、その世界に入れるのなら、どんな役でも絶対に出たいという思いがまずありました。そのうえで、自分が騰を演じさせてもらえるという感動がさらに上回ってしまったので、どこまで描けるのかなどは関係なく、絶対やりたいですという気持ちになりました」

 天下の大将軍・王騎の傍でも堂々とした佇まいで、ただ者ではない存在感を醸し出しているものの、言葉数も感情表現も少なく謎の多かった騰の役づくりは、どのように行ったのだろうか。

 「原作の騰は、数多く登場する将軍や武将たちの中でも、ちょっと異質なキャラクターだなと。少し西洋風というか、一人だけちょっと異国の地から来たような雰囲気を持っているんですよね。もしかしたらそんな設定もあるのかもしれないなと解釈し、あまり表情を作らず常に冷静で、どこの国から来たのかもわからないし、もしかしたら言葉もすべては理解できてないのかもしれないぐらいの謎めいた部分があるキャラクターなのかなと。周囲が何かに驚いたりしている時も、騰だけは普通に冷静にしていて、客観視しているみたいな。そんなふうに、僕の中では作っていきました」

 実写映画『キングダム』シリーズは、ビジュアル面も含めた原作の再現度も高い評価を受けている。騰の外見についてもなるべく原作の騰を忠実に実写化することを意識して、髭のクルンとした曲がり具合などにもこだわったという。

 「髪の色にもどこから来たのかわからないような異国感や抽象的な感じを出したいと思い、黒からだんだん赤にしていくというちょっとグラデーションになっています。こまめに切ったりもしない時代でしょうから、傷んで赤くなったようなイメージです。あとは原作の騰はマスカラを入れているかのようなパッチリ目なので、それも取り入れたくて目の周りにアイラインのようなものも引いています」

~以下、ネタバレを含みます~

 そして原作ファンが特に楽しみにしていると思われるのが、騰の戦闘シーン。「前作までは王騎と二人で戦を見守っているシーンが多かったので、ずっと“戦いたいなあ”という思いはありましたね(笑)」と要も言うように、前作までは見られなかった騰の戦闘シーンも、今作で初めて本格的に描かれる。原作の騰は馬を走らせながら剣を円形に回転させて敵をなぎ倒し、疾風のように大軍勢も切り裂いていく怪物的な剣技を誇り、その時にコマ絵に描かれている“ファルファル”という音は、騰を指す愛称のようにもなっている。その再現についてはどのようなことを狙ったのだろうか。

 「(佐藤信介)監督にも“ファルファル”は、刀を振った際の擬音なのか、騰が口で言う掛け声のようなものなのかを尋ねたことがあるのですが、その芝居は俳優側に委ねてくれたので、僕が口で言うことも可能ではありましたが、自分としてはやはり刀を振っている時の擬音として鳴っている音なんだと解釈して演じました。完成品を僕は“ファルファル”だと思いながら見ましたし、実写ならではの正解の形だったのではないかとは思っています」

 そのアクションを実演するためのトレーニングも行ったという。「乗馬はやっていましたが、今回は片手で手綱を持ち、もう一方の手で剣を振り回しながら、体をちょっと倒して馬で走るということを、メニューを組んで何回か練習しました。走りながら体重を片側にかけると落ちそうになったり、馬が走りを止めることもあるので、その練習をしました」

 “ファルファル”が具体的にどう表現されているのかは観てのお楽しみということだが、要自身も完成した作品の出来栄えには毎回驚かされてきたそう。

 「一つのシーンでもカットごとに違う場所で撮っていたりするので、完成品でちゃんと繋がるから大丈夫だとわかってはいても、多少の不安はあるんです。崖の端に立って信たちの戦いを見ているカットも、(撮影中には)目の前に何もないし、アクションシーンも敵に剣を振り上げるカットとその敵を斬ったカットは違う場所で撮影していることもある。完成品で見て初めてわかる部分も多いし、自分の芝居が間違ってなかったんだと安心もする。いつもそうですが、今回も間違いなく予想を上回る作品になっています!」と語り、完成品への確かな手応えを見せていた。(取材・文:天本伸一郎)

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