映画『インサイド・ヘッド2』のプロモーションで来日したピクサー・アニメーション・スタジオのチーフ・クリエイティブ・オフィサー(CCO)、ピート・ドクターと、スタジオジブリの宮崎駿監督の対談が実現した。対談の模様は8月4日と11日の2週に渡り、TOKYO FM のラジオ番組「鈴木敏夫のジブリ汗まみれ」で放送される。
ピクサーとジブリは1980年代頃から親交があり、『千と千尋の神隠し』ではピクサーがアメリカ配給版の英語吹替の監修を務めたり、『トイ・ストーリー3』にはトトロがカメオ出演したりしている。ドクターはピクサーの制作部門のトップであるだけでなく、『カールじいさんの空飛ぶ家』『インサイド・ヘッド』『ソウルフル・ワールド』で3度アカデミー賞長編アニメ賞に輝いている映画監督。先月の来日時にジブリを訪問し、宮崎監督とトップクリエイター同士だからできるアニメーション制作にまつわる熱い議論を交わすことになった。
手描きアニメーションを追求するジブリと、最先端技術を駆使した3DCGアニメーションのピクサー、それぞれの制作現場の裏側や作品に対する思いなどが語られたが、両者の違いが大きく出たのが、「テスト試写」をどう捉えているかについてだ。ピクサーでは何度もテスト試写を繰り返し、さまざまな人の意見を取り入れて映画を作り上げるという手法を取っている。
ドクターが「スタジオジブリではそういう事を行いますか?」と尋ねると、宮崎監督は「ないです。映画はお客さん全員が理解することは不可能です。責任を取るのは自分たちですから、そこにたまたまいた人に責任を預けるわけにはいきません」ときっぱり。ドクターは「僕らのやり方だとテスト試写は役に立つんです。製作途中なのでこの部分は全然響いてない、感情を感じたいのに感じられてないということを見極められるので、調整することができるんです。確かに僕も意見を聞いている時は右から左に流すこともしますが、試写では一緒に観るんです。そうすると飽きている時や画面に観入っている時を肌で感じられるので、そのリアクションは本心だと思っています。それを観ながらなるべく多くの方に響くように調整するのが僕らの責任だと考えています」と説明した。この他二人の熱い対談は、ラジオ番組「鈴木敏夫のジブリ汗まみれ」で放送される。
現在公開中の『インサイド・ヘッド2』では、『モンスターズ・ユニバーシティ』などでストーリースーパーバイザーとして実力を磨いてきたケルシー・マンに監督の座を譲ったドクター。同作はアニメーション映画として世界最大のヒット作となっている。同作を鑑賞したジブリの鈴木敏夫プロデューサーは「思春期を迎えたライリー、その頭の中は今、どうなっているのか? 75歳のおじいちゃんには勉強になりました」とコメントを寄せている。(編集部・市川遥)
「鈴木敏夫のジブリ汗まみれ」のピクサー回は8月4日・11日(日) 23:00~23:30の2週に渡って放送予定
放送局:TOKYO FM をはじめとするJFN全国38局ネット ※終了後ポッドキャスト配信あり
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