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殺人鬼プー映画化で苦情殺到も…監督が明かすトラブル回避術「ディズニー版は絶対に観ない」

シネマトゥデイ 映画情報 2024年8月10日 20時3分

 全世界で愛される児童小説「クマのプーさん」がパブリックドメインとなったことを受けて誕生した衝撃のホラー映画『プー あくまのくまさん』(2023)が、新たなキャラクターを引っ提げ、『プー2 あくまのくまさんとじゃあくななかまたち』として帰ってきた。メガホンを取ったリース・フレイク=ウォーターフィールド監督がリモートインタビューに応じ、賛否両論あった前作を振り返りながら、ホラー描写に磨きがかかった続編製作について語った。

 A・A・ミルンが1926年に発表した「クマのプーさん」は、2022年1月に著作権が切れてパブリックドメインとなった。ウォーターフィールド監督は、野生化したプーと仲間のピグレットが100エーカーの森で人間たちを狩るスラッシャーホラーとして、撮影期間わずか10日で映画化。低予算で製作された映画は、全世界で製作費の100倍となる500万ドル(7億2,500万円・1ドル145円計算)を稼ぎ出す大ヒットを記録した。

 興行面で成功した一方で、ディズニー・アニメーションでも有名なプーさんをホラー実写化したことに対する批判の声も多く、最低映画の祭典第44回ゴールデンラズベリー賞(ラジー賞)では、最低作品賞を含む5部門を受賞。ウォーターフィールド監督のInstagramにも批判や苦情コメントが殺到し、過激化したプーファンから殺害予告も届くようになった。

 「私のInstagramは炎上しました。プーのホラー実写化に納得していないヘイターから殺害予告が毎日届きました。実は、今も送られてきます」と打ち明けたウォーターフィールド監督。しかし、本人は極めて前向きで「匿名でのメッセージなので、全然気にしていません。ネット上で叩く人は、自分の意見に共感してほしいからなんです。(ショックで)自分のアパートの隅で落ち込んだりも全くありませんでした」

 ディズニー・アニメーション版「くまのプーさん」の著作権は切れていないため、描き方を少しでも間違えれば、大問題に発展しかねない。ウォーターフィールド監督は、実写化において「ディズニー版は絶対に観ない」ことを徹底しているという。

 「ディズニー版は幼少期に観たことはありますが、全ては見ていません。映画化にあたっては、1926年の児童小説のみに集中していました。他のマテリアルから影響を受けることを防ぐためです。もし、ディズニー版を見た誰かが助言したり、少しでも影響を受けていると感じたら、脚本は一から書き直しです。著作権侵害を防ぐために、細心の注意を払って製作しています」

 前作の10倍となる予算を注ぎ込み製作された続編は、プーと仲間たちが100エーカーの森を飛び出し、餌となる人間を求めて、クリストファー・ロビンが少年時代を過ごした町アッシュダウンへと繰り出すさまを描き出す。予算が増えたことでクリーチャーデザインや残虐描写でより自由な取り組みが可能になったウォーターフィールド監督は、続編を待ち望むファンの意見を参考に物語を構築していった。

 「私のInstagramやホラー映画に特化したメディアで、『続編でどんなものが観たい?』と質問を募集しました。ファンが何を求めているのか、意見を見ながら調査をして、どれが理にかなっているかを見定めました。ありがたいことに、どの意見も素晴らしいものばかりでした」

 特に多かった要望は、前作にはいなかったティガーの登場だ。1作目当時は著作権が切れていなかったため、登場は叶わず。今年の元日にパブリックドメインになったことで、満を持してホラー実写化された。

 「ティガーは絶対に登場させたいと思っていました。『クマのプーさん』で最も有名なキャラクターは? と聞いてみると、多くの人がプーの次にティガーと回答します。ファンも大好きなティガーを続編に登場させるのは、製作陣みんなが賛成したことで、ティガーが人間たちを殺める姿がすごく楽しみでした」

 ティガーには、ホラー映画の金字塔『エルム街の悪夢』に登場するフレディ・クルーガーの要素を盛り込んだというウォーターフィールド監督。若者たちを狙うティガーが「ビッチ」という言葉を連発するのもこだわりの一つだった。

 「ティガーが人間を襲う時、必ず『ビッチ』と放つ案は絶対に面白いと思いました。私が映画館で観た時も、ティガーのシーンで笑っている人をたくさん見かけました。日本のみなさんもぜひ笑ってほしいです」

 映画の見どころは、終盤で待ち受けるティガーによる大殺戮だという。ウォーターフィールド監督は「あのシーンは2日間で撮影しなければなりませんでした。なので、撮影現場でティガーがどのように人間を襲うのか、考えながら撮影していました」と明かし、「死亡シーンは即興で作り上げたものが多いです。若い女性が穴に落ちてしまうシーンも、当初は脚本に書かれていなかったのですが、撮影現場でその穴を見つけた時に『もしもこの穴に人間が落ちたらどうなるんだろう?』と思って付け加えました。とにかく忙しい2日間でした」と振り返っていた。(取材・文:編集部・倉本拓弥)

映画『プー2 あくまのくまさんとじゃあくななかまたち』新宿ピカデリーほか全国公開中

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