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『ラストマイル』にUDIラボ再結集!ドラマ「アンナチュラル」の魅力

シネマトゥデイ 映画情報 2024年8月14日 7時32分

 8月23日から全国公開される映画『ラストマイル』。満島ひかり演じる世界規模のショッピングサイトの関東センターに配属されたばかりのセンター長・舟渡エレナと、岡田将生ふんするチームマネージャー・梨本孔が、配送物の連続爆破事件の解決に奔走する姿が描かれる本作に登場するのが、2018年に放送された人気ドラマ「アンナチュラル」に登場する「不自然死究明研究所(UDIラボ)」の面々だ。ドラマの世界観とつながるシェアード・ユニバース作品の公開を前に「アンナチュラル」の魅力をおさらいする。

圧倒的に分厚い人物造形!

 ドラマ「アンナチュラル」は、『ラストマイル』と同じ、脚本・野木亜紀子、演出・塚原あゆ子、プロデューサー・新井順子というゴールデンタッグで送るオリジナルストーリー。

 日本に新設された死因究明専門のスペシャリストが集まる「不自然死究明研究所(UDIラボ)」を舞台に、石原さとみ演じる三澄ミコト、井浦新演じる中堂系の法医解剖医、窪田正孝が演じるUDIラボにバイトとして雇われていた久部六郎ら個性的なメンバーが、「死」の裏側にある謎に迫ることにより、死者の思いをくみ取る法医学ミステリーだ。基本的にUDIラボに持ち込まれた不自然死の真相に迫る1話完結形をとっていながら、登場人物の裏側に隠された謎が、回を追うごとに明かされていくという構成になっている。

 その人物造形こそが物語の大きな魅力の一つだ。脚本の野木氏は、いわゆる公式サイト等で掲載されている人物紹介だけではなく、その背景には膨大な裏設定があると語っているように、清濁入り混じった「人って一面的ではないよね」と思わせるキャラクターを作り上げている。

 石原演じるミコトは、解剖実績が1,500件ぐらいという法医解剖医。石原自身、ミコトという役に対して監督から「お芝居をしないでください」と言われていたとドラマの公式サイトで発言している。それまではテンションの高い役が多かったという石原にとって、大きなチャレンジになる作品と語っており、適度に明るく、適度に落ち着いている、いい意味でどこにでもいる女性という、リアリティを求められる役柄だ。一方で、幼少期に一家四人無理心中事件の当事者として自分だけ生き残ってしまったという大きな心の傷を抱えた難役だが、終始ナチュラルな雰囲気で、スッと視聴者が寄り添えるミコトを演じている。

 そんなミコトと、ことあるごとに対立するのが、井浦演じる中堂。解剖実績はミコトの倍ほどあり、法医解剖医の実力は誰もが認める存在。しかしとにかく口が悪く、パワハラまがいのことをするため、同僚から訴えられてしまうという男だ。演じた井浦も公式サイトで「人間的には扱いづらくて協調性のない男」と語っているが、彼にはUDIラボで働かなければいけない理由がある。

 「それならもっとみんなとうまくやっていけばいいのに……」と思う視聴者も多かっただろうが、そこが中堂の不器用なところで、人間臭いところでもある。法律すれすれどころか、完全にアウトな行動も目的のためには辞さない。その理由があまりにも人間的なところも中堂の魅力だ。そんな“変人”を井浦が、嫌悪感を持たれない絶妙なさじ加減で好演。「アンナチュラル」が放送開始されると、井浦のInstagramのフォロワーが1か月で2万人も増えたと新井プロデューサーが語っていた(TVerプラス)ように、大きな人気キャラとなった。

 また窪田演じる六郎も作品には欠かせない存在だ。アルバイトとしてUDIラボに所属し、ミコトの「三澄班」で解剖時の記録整理業務を行っている。祖父、父ともに医者で、二人の兄も医者という家族のなか、医者になることを義務付けられたという背景を持つ。特殊な家系ながら非常に“普通”の感覚を持ち合わせおり、UDIラボのなかでも、独特の存在感を示しているが、一方で、UDIラボの内情を週刊誌に伝える密偵の役割も担っていた。

 その他、ミコトの同僚であり頼れる存在の東海林夕子(市川実日子)や、中堂に対し訴訟を起こす臨床検査技師の坂本誠(飯尾和樹)、UDIラボの所長・神倉保夫(松重豊)など、シリアスな物語に緩急を加えてくれるキャラクターたちの人生も興味深い。

コロナ禍を予言?先見性のあるストーリー

 こうした登場人物たちが躍動する「アンナチュラル」。もう一つ特筆すべき点が、題材の先見性だ。

 本作は2018年1月から放送がスタートしたが、第1話の題材が、2020年からパンデミックとなった新型コロナウイルスの世界を予言していたかのような内容なのだ。第1話「名前のない毒」で取り上げられたのは、MERS(中東呼吸器症候群)コロナウイルス。しかも劇中には「PCR」でのウイルス検出方法の提案や、MERSコロナウイルスが国内で発見されると、防護服や消毒液、マスクなどの感染対策、マスコミによる糾弾、SNSに飛び交う誹謗中傷など、まさにコロナ禍と同じような描写が続く。

 また第2話「死にたがりの手紙」では、集団練炭自殺を題材にしている。こちらは2017年に起こった「座間9人殺害事件」を連想させる内容だが、事件が起こる前に脚本を執筆していたと野木は語っている(シネマトゥデイ)。物語自体はフィクションであるが、リアリティを追求した“いま”を切り取っているからこそ、多くの視聴者が感情移入するのだろう。

 映画『ラストマイル』では、石原をはじめ井浦、窪田、市川、松重らの出演はもちろん、UDIラボに遺体を運ぶフォレスト葬儀社の木林南雲役の竜星涼らの出演が発表されている。どんな形で彼らが物語に絡むのか、注目したい。(文・磯部正和)

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