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「アンナチュラル」「MIU404」大倉孝二、毛利刑事人気を疑いつつも感謝『ラストマイル』で主要キャラに大出世

シネマトゥデイ 映画情報 2024年8月21日 7時32分

 監督・塚原あゆ子と脚本・野木亜紀子がタッグを組んだ人気ドラマ「アンナチュラル」(2018)、「MIU404」(2020)と同じ世界線で物語が展開する(シェアード・ユニバース)完全オリジナル映画『ラストマイル』が、いよいよ8月23日より公開となる。それら3作品すべてに出演しているのが、大倉孝二演じる西武蔵野署の刑事・毛利忠治だ。大倉は「これだけ長く一つの役を演じさせていただけるなんて、本当に光栄です」と感激しきり。「毛利刑事がファンの皆さんに愛着を持ってもらえるような存在になっているとしたら、とてもうれしい」と喜びを噛み締める。(取材・文:成田おり枝)

シェアード・ユニバース構想に「すごいことを考える」

 『ラストマイル』では、流通業界最大のイベントの一つであるブラックフライデーの前夜、世界規模のショッピングサイトから配送される段ボール箱が爆発する事件が発生。やがて日本中を恐怖に陥れる連続爆破事件へと発展していく様子を描く。ショッピングサイトの配送センターで働く舟渡エレナ(満島ひかり)や梨本孔(岡田将生)らが事件解決に奔走する中、「アンナチュラル」&「MIU404」のキャラクターたちもお目見え。両ドラマと世界がつながり合う形で、物語が展開する。

 毛利の初登場は、死因究明専門のスペシャリストが集まる「不自然死究明研究所(UDIラボ)」を舞台にした法医学ミステリー「アンナチュラル」。続けて、事件の初動捜査に当たる「警視庁刑事部・第4機動捜査隊」の活躍を描く刑事ドラマ「MIU404」、『ラストマイル』にも登場。シェアード・ユニバースをつなぐ存在の一人となった。

「仕事が増える」と面倒臭そうにする一面がありながらも、正義感と情熱を胸に刻んで捜査にあたる毛利は、ファンからも熱い支持を集めるキャラクターだ。毛利の映画への参戦が明らかになると、SNSでもたくさんの歓喜の声が上がっていたが、大倉は「本当に人気があるんですか?」と疑いつつ照れ笑い。「MIU404」の撮影時に、塚原監督からシェアード・ユニバース映画の構想を聞いていたそうで「すごいことを考えるなと思いました。映画の制作が決まった時には、本当に実現したんだと感慨深いものがありました」と語り、「今回の映画にも、毛利刑事が出られるなんて。どういうことになるのか、すごく楽しみでしたね。毛利は西武蔵野署の所轄の刑事なので、その管内で事件が起こらないと出番がないんです。その管内の出来事を描いていただいて、ありがたい!」と感謝をにじませる。

刈谷刑事とのコンビは

 「アンナチュラル」と「MIU404」において、毛利は西武蔵野署所属の刑事・向島(吉田ウーロン太)と行動を共にしていた。一方『ラストマイル』で巻き起こる連続爆破事件においては、警視庁捜査一課の刑事・刈谷(酒向芳)とコンビを組むことになる。相棒が変わることについて、「毛利は、塚原監督と一緒に作ってきたキャラクター。さらに言うと、向島くんと一緒に作り上げてきたキャラクターでもあります。だからこそ、今回の毛利は向島くんといる時とはまた違った感じになるのだろうと思いながら、台本を読んでいました」と不安もあったことを告白する。

 「MIU404」では第4機捜のメンバーにきつく当たっていた刈谷だが、毛利との掛け合いを通して、刈谷のチャーミングな表情が見えてくるのが実に面白い。大倉は「やはり“高圧的”というのが、キャラクターとしての刈谷さんらしい部分だと思うんです。また所轄の刑事である毛利と本庁の刑事である刈谷さんは、立場がまったく違う。そういった関係性もありながら、この2人のコンビを面白いものに見せるためにはどうしたらいいのだろうかと、2人のバランスについてはいろいろと考えました。まず酒向さんが演じる刈谷さんがいて、そこに僕はどのように存在できるかなと考えていました」とコンビ感について熟考したという。

 「酒向さんとは、撮影の待機場所もずっと同じ部屋でした。ずっと世間話をしていました」と撮影の合間には和やかな時間を過ごした様子で、「寒い時期の撮影だったので、『寒いですね』『雪が心配ですね』『撮影場所が遠いですね』なんていう話ばかりをしていた(笑)。刈谷さんとは違って、酒向さんは本当にフランクで、気さくに接してくださる方なんです」と楽しそうに振り返っていた。

ツッコミ役を認識

 満島演じるエレナや岡田演じる梨本に聞き込みをする際にもツッコミを炸裂させるなど、常にツッコまずにはいられない性格も毛利の魅力的なところだ。大倉は「今、初めてちゃんと認識しました。毛利刑事って、ツッコミなんですね」とにっこり。

 「満島さんと岡田くんは、ものすごく柔和な佇まいをされているお二人。それが芝居となると、瞬時に鋭さを発する。役になっていく集中力もすごいし、本当にカッコいいなと思いました。僕なんて、いまだにどうやって芝居をしたらいいかわからないですから。撮影に入る時には、いつも緊張しています」と苦笑いを浮かべつつ、「完成作を試写で観た時、『みんな、本当にいい芝居をするな』と思ったんです。『役者って、すごい』と思うような場面ばかりでした」とすばらしい共演者と過ごす時間は、刺激的なものだという。

 塚原監督&脚本の野木による最強タッグが放つ作品は、エンタメであると同時に「ものすごく強度がある」と大倉が話すように、本作においても爆破事件にまつわるサスペンスだけでなく、そこから社会をひたむきに生きる人々の姿が浮かび上がってくる。大倉は「野木さんの書かれる脚本を読んでいると、何回も考えて生み出されたセリフなんだなと感じます。ちゃんと責任を持って、口にしないといけないなと思っています」と背筋を伸ばす。

 毛利というキャラクターについて改めてどのような思いで向き合っているのか聞いてみると、「この3作品に出られたことは貴重な経験だと思いますし、これだけ長く一つの役を演じさせていただけるなんて本当に光栄なこと」としみじみ。「これまで一度も、毛利について深く描かれたことってないんですよ」と家族や過去など謎ばかりだと微笑みながら、「毛利は、(『アンナチュラル』で)市川(実日子)さん演じる東海林と付き合っているんじゃないか、なんていう説まであちこちで言われ始めたりして。塚原監督と市川さんも面白がっちゃうから。いやいやいや……と思ったりして」と毛利が観る者の想像を膨らませるキャラクターになったもの、大倉が味わい深い人物として演じているからに他ならない。ぜひ「また会いたい」と思うようなキャラクターだが、大倉は「皆さんが声を上げてくれたら」と笑顔を見せながら「そう願っていただけるのはとてもうれしいです」と目尻を下げていた。

映画『ラストマイル』は8月23日より全国公開

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映画『ラストマイル』オフィシャルサイト
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