Infoseek 楽天

「ザ☆ウルトラマン」ムツミ役・島本須美、45周年で新事実 次世代に繋ぎたいジョーニアスの物語

シネマトゥデイ 映画情報 2024年8月25日 12時10分

 円谷プロダクションが制作したウルトラマンシリーズ初のテレビアニメ作品「ザ☆ウルトラマン」(1979~1980)が、今年45周年を迎えた。同作に登場する科学警備隊の女性隊員・星川ムツミに声を当てたのは、同作が声優としての初レギュラー作品だった島本須美だ。今月1日に行われた一夜限りのイベント「ザ☆ウルトラマン&ウルトラマン80 45thスペシャルナイト」に登壇した島本が会場でインタビューに応じ、45周年を迎えた作品への思いを語った。

デビュー1年目でつかんだヒロイン声優

 「ザ☆ウルトラマン」は、実写特撮「ウルトラマン80」と共に昭和ウルトラマンシリーズの最後を飾ったテレビ作品。科学警備隊の新メンバー・ヒカリ超一郎(声:富山敬)が、宇宙で遭遇したウルトラマンジョーニアスと一体化し、平和を壊す脅威と戦う姿が全50話かけて描かれた。実写特撮では映像化できなかった宇宙規模の壮大なストーリー、ウルトラの星「U40」といった独自の設定など、新機軸のウルトラマン作品として、今なお多くのファンに支持されている。

 アニメーション制作は「機動戦士ガンダム」シリーズなどで知られるサンライズ(当時は日本サンライズ)が担当しており、ウルトラマンと科学警備隊のドラマチックな物語を色濃く描写した。島本も、「実写特撮で動きが制限されていた部分が、ある意味、どこまでやっても大丈夫なわけで、アクションシーンやウルトラマンが宇宙へ飛んでいくシーンも全部含めて、やれるだけやれちゃうアニメってすごいなと思っていました」と改めて作品の魅力を語る。

 1979年放送開始のアニメ「タイムボカンシリーズ ゼンダマン」で声優デビューを果たした島本は、「ザ☆ウルトラマン」でヒロイン声優に大抜てきされた。「当時はまだ声優1年目だったので、『(自分の声が)下手くそ』とか自分のことばかり気になって仕方がありませんでした」と駆け出しの頃を振り返る。

 「当時は、オンエアを確認しないとわからないような映像でアフレコをしていたので、台本のト書き部分を参考に、どういう画が描かれているのかを想像しながら、一生懸命やっていました。全員がものすごい想像力と集中力で仕事していました」

 舞台経験は豊富だった島本は、特にキャラクターの口に合わせてセリフを当てることに苦労していたという。「新人の頃は、吹き出しマークにセリフを合わせることに気を取られがちなんです。セリフを言うタイミングに関しては、慣れていないと、口が動いた時に話しても遅れてしまいます。なので、当時は合わせることに必死だった気がします。二瓶正也さん(トベ博明役)も初めてのアニメ声優だったらしく、キャラクターの口の動きに合わせることが慣れていなかったので、苦労されていた記憶があります」

ムツミの面影が…新録ナレーションで苦戦

 島本が声を当てたムツミ隊員は、科学警備隊で唯一の女性隊員だが、性別で特別扱いされることを嫌い、男性メンバーに負けない存在感を放っている。「ムツミ隊員は、まっすぐで素直な感じが素敵ですよね。竹を割ったような性格で、全くブレません。男性ばかりの職場でも、自分の意見を曲げずに強くあり続けるムツミ隊員を、当時から演じることができていたと思います」

 「ザ☆ウルトラマン」は、45周年を記念して初HDリマスター化が決定しており、ブルーレイBOXには最終回4部作(第47話~第50話)「ウルトラの星へ!!」を新規映像に一本化『長篇アニメ映画 ザ☆ウルトラマン ウルトラの星へ!!』が収録される。島本は同作のナレーションを務めており、新たに録音を行った。

 「45年前は声を作らずに喋っていたのですが、当時の声はもう出せないので、今回は声を作らないといけませんでした。収録時には、(スタッフが)当時のままではなくても大丈夫とも言ってくださったのですが、どのくらいまでがギリギリセーフかなと思い、最初に落ち着きすぎた声で収録したら、ムツミの面影がなくなってしまい……。『こんなに落ち着いたムツミではいけない』と思ったり、声の度合いが難しかったです。(ナレーションは)当時のムツミの声ではないと思って聞いてください」

 最終回4部作は、「ガンダム」シリーズの生みの親である富野由悠季が「斧谷稔」名義で、「装甲騎兵ボトムズ」の高橋良輔が「山口和十八」名義で絵コンテを制作している。島本は「富野さんが別名義で参加されていたことは、実は今日(イベント会場で)知ったんです」と打ち明け、「富野さんとお仕事をすることが夢だったので、『ザ☆ウルトラマン』でそれが叶っていたとは思ってもいませんでした」と45年目の新事実に驚きを隠せないでいた。

ウルトラマンはどの時代にも必要な正義のヒーロー

 ウルトラマンジョーニアスは、実写として後のウルトラマン作品にも登場しており、直近ではYouTube配信のオリジナルシリーズ「ウルトラギャラクシーファイト」で活躍が描かれている。島本は、「ウルトラマンは、この世に存在している全てのものを守ろうとしている。特に、地球に対する思いは深いと思います。現在のあやふやな世界を救ってくれる、正義のヒーローになってくれると思います」と時代を超えて紡がれるウルトラマンの物語にさらなる期待を寄せる。

 「ウルトラマンシリーズは、これからも続いていきます。世界観もさらに変わっていくと思いますが、どの時代にも必要な正義のヒーローです。子供、孫、ひ孫とそれぞれの世代に繋がっていくことは、とても嬉しいことです」

 45年の節目を迎えた「ザ☆ウルトラマン」。ウルトラマンジョーニアスや科学警備隊の戦いは、これからも次世代に語り継がれていくことだろう。島本は「おじいちゃんやお父さんの世代が、当時喜んで観ていた作品だと思いますが、これからもいろんな世代で楽しんでいただけたら、さらに話題が広がっていくのではないかと思います」と願いを込めていた。(取材・文:編集部・倉本拓弥)

「ザ☆ウルトラマン&ウルトラマン80 45thスペシャルナイト」は9月15日(日)23時59分までU-NEXT見逃し配信中(税込3,300円)

「ザ☆ウルトラマン」ブルーレイBOXは11月22日発売(価格:税込4万1,800円)

【関連情報】
【動画】「ザ☆ウルトラマン」45周年で初HDリマスター化!ブルーレイBOX告知映像
「ザ☆ウルトラマン」「ウルトラマン80」45周年!声優&キャストがウルサマで一夜限りの再集結
ウルトラセブンはまだまだ輝き続ける 森次晃嗣、モロボシ・ダンと歩んだ55年
ナウシカ声優・島本須美、青色テトと対面で「怖くない」名シーン披露
ケイン・コスギ、「カクレンジャー」苦労の時代が土台に 三大特撮制覇後の現在地
萩原聖人、ウルトラマンアークは「シュワッチ」ではなく「ショワッチ」 声で捧げる昭和ウルトラマンへのオマージュ

この記事の関連ニュース