映画『エイリアン:ロムルス』(全国公開中)のVFXスーパーバイザーを務めたダニエル・マッカリンが、キャストも「トラウマ級」だと戦慄するクライマックスの制作秘話をVarietyに明かした。(以下、映画のネタバレを含みます。鑑賞後にお読みいただくことをおすすめします)
『エイリアン:ロムルス』の時系列は、リドリー・スコット監督が手がけた『エイリアン』1作目と、その続編『エイリアン2』の間。廃墟と化した宇宙ステーション“ロムルス”を舞台に、6人の若者たちに襲いかかる悪夢を活写する。
クライマックスでは、主演のケイリー・スピーニー(レイン役)が撮影中に「これはトラウマ級ですよ?」と感じるほど、恐ろしく大胆な展開が描かれた。レインの仲間で妊娠中のケイ(イザベラ・メルセド)は、エイリアンの攻撃で負傷し、エイリアンから抽出された人間を進化させる化合物「Z-01」を延命のために注入した。しかし、その化合物はケイがお腹に宿した胎児を“進化”させてしまい、彼女はエイリアンと人間のおぞましいハイブリッドを出産した。Varietyは、そのハイブリッドを“オフスプリング”(The Offspring)と呼称している。
メガホンを取ったフェデ・アルバレス監督は、シリーズの原点に立ち返り、劇中に登場するゼノモーフやフェイスハガーなどを特撮技術を駆使して撮影している。もちろん、オフスプリングもCGではなく実写で製作されており、ダニエルは「頭の中でイメージしようとしても、監督がどんなキャラクターにするのかわかりませんでした」とはじめは想像がつかなかったという。
そこで、アルバレス監督がオフスプリング役として起用したのが、ルーマニアのバスケットボール選手ロバート・ボブロツキー(24)だ。身長2m31cmという驚異的なスタイルで、ダニエルも「2メートルの俳優がコスチューム姿で現場にいて、とても恐ろしかったです」と恐怖を感じたそうだ。
プロの役者でないロバート選手が、正体不明のクリーチャーを演じるからこそ「動作がとてもユニークなんです」とダニエルは説明する。「彼の高さとクリーチャーのコンセプトを考えると、彼は視覚的にも全く新しいものを生み出しました。極めて優れたことだと思いました」とロバート選手を絶賛した。
また、オフスプリングの見た目は前日譚映画『プロメテウス』に登場したエンジニアを彷彿させるが、ダニエルは「みなさんが期待するような直接的なつながりはありません」とコメント。「ですが、『エイリアン:ロムルス』に巨大な物語があるとすれば、もちろん多くの謎が存在しますし、もしかしたら(監督が抱く)アイデアのほんの一部を見ただけかもしません。間違いなく、私たちがもっと掘り下げたい部分です」と語っている。(編集部・倉本拓弥)
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