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北野武最新作『Broken Rage』ベネチアで6分間のスタンディングオベーション「トップ3に入る程反応が良かった」【第81回ベネチア国際映画祭】

シネマトゥデイ 映画情報 2024年9月8日 0時43分

 北野武監督の新作映画『Broken Rage』が現地時間6日、第81回ベネチア国際映画祭のアウト・オブ・コンペティション部門(特別招待作品)で世界初上映された。会場には北野武監督をはじめ、メインキャストの浅野忠信と大森南朋も出席。上映後には6分間のスタンディングオベーションが起こり、北野監督が照れくさそうに制止する一幕があった。

 北野武監督が脚本&主演も兼任した新作のテーマは「暴力映画におけるお笑い」。本編は62分の2部構成で、前半は警察とヤクザの間で板ばさみになった殺し屋の奮闘を描く骨太のクライムアクション、後半は前半と同じ物語をなぞるコメディータッチのセルフパロディーとなっている。北野監督は主人公の殺し屋・ねずみ役、浅野と大森は主人公を麻薬捜査の覆面捜査官として協力させようとする刑事役を務める。

 公式記者会見は、世界中から100名以上の報道関係者が詰めかけ満員となった。北野監督は「劇場の人向けではなくテレビ画面で観る人に向けて、今までやってみたかったことをテストでやってみた。気楽に撮ってみたら、まさかこんな(ベネチアに来る)ことになるとは。もっと真剣にやるべきだったな」と企画誕生の経緯を“北野節”全開で語る。

 「実際にインターネットをみたりして意外に規制が外れて『よくこんな悪口が言えるな』と楽しくみているが、スピード感に飲まれているのか、(本作の編集にあたり)映画の<間>じゃなくてインターネットの<間>になった」と2部構成によって実験的な作品になったと北野監督。新たな挑戦を感じられる中でも、「暴力もお笑いも感情を揺さぶるもの。人に対する衝撃という意味では、お笑いも暴力である。暴力的なものなのか、愛なのか、日常的なものなのか、観る人によって違うのは映画や絵画などのアート。人が気付いていないことを、これが暴力だ、これが愛だとピックアップするのが大事なんだと思う」と作品のテーマについて熱弁した。

 前作『首』に続いて北野監督とタッグを組んだ浅野は、「武さんのような、違うところで活躍されていた方が映画に来て、まっすぐな目で我々に向き合ってくださるっている気がするんですよね」と切り出し、「他の映画監督とは全然違う要求をされるので、役に対して応えていく作業を現場でしていかないと北野監督が認めてくれないということがわかったので、役に対する取り組み方が変わったなと。前作の『首』にしても今回にしても常に新しいことにチャレンジしている姿勢も含めて、俳優として学ぶことが多かった」と充実感をにじませる。

 また大森も「武さんの横にずっといることが出来て、浅野君と一緒にお芝居できて、撮影の日々は本当に毎日楽しかったです。(後半のパロディーパートの撮影では)生意気ながらも『武さんにもちょっと笑ってほしい』という気持ちで撮影に挑んだんですけど、なかなか出来なくて苦労しました」と撮影を振り返った。

 そんな浅野と大森について、北野監督は「この二人は、おれが将来すごく期待している人たちなんで、すごく一生懸命にやっていただいて、いずれは映画界を引っ張っていく日本の役者さんだと思ってますんで、みなさんも心に留めておいてください」と世界中の報道陣にアピール。会見終了後には、北野監督が記者たちからサイン攻めにあう一幕もあり、その後のレッドカーペットでも記者からの熱烈なキタノコールで迎えられた。

 公式上映の会場は、新作を待ちわびたファンが世界中から集結し、1,032席が埋め尽くされた。上映中は笑いと拍手の渦が起き、上映が終わると、観客から惜しみない拍手と歓声が送られた。

 世界初上映を終えた北野監督は、「ベネチア国際映画祭には何度も来ているけど、今回は、その中でもトップ3に入る程反応が良かった。『HANA-BI』の時よりもスタンディングオベーションはこっちのほうが長くて、面積とか体積で言えば、今回のが一番良かったなと思います。『Broken Rage』はあまりにも映画らしくない、冒険した作品なので『大丈夫かな?』と思ったけど、反応がすごく良かった」と手応えを感じている様子を見せた。

 また「ベネチア国際映画祭は、映画では無名だった武にグランプリをくれたので、自分たちが育てたという感覚を持ってくれてるんじゃない? ベネチアでグランプリを獲っても、あまり進化のないことをやっていたらファンに飽きられちゃうから、またチャレンジしてるところを見せないと」と続けた北野監督。「1本1本、ベネチアのファンがこの映画を見たらどう思うか? ということも意識しながら作ってます」と力を込めた。

 そして、浅野は「お客さんにものすごくウケていたのでホッとしましたし、監督も喜んでいらっしゃいました。僕が日本の試写会で見た時に感じた『おもしろい!』という感覚が正しかったことが確認できてよかったです」と笑顔。大森は「イタリアのファンの方は北野監督の世界観をよくご存じなのだと思いますが、こんなにも愛と喜びを持ってこの映画と向き合っていただけるんだと思い、非常にうれしかったです」と喜びを語っていた。(編集部・倉本拓弥)

Amazon Original映画『Broken Rage』は Prime Video にて2025年世界配信予定

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