第49回トロント国際映画祭で映画『ナイトビッチ(原題) / Nightbitch』が世界初上映され、夜、犬に変身するようになる専業主婦役を務めたエイミー・アダムス(『メッセージ』『魔法にかけられて』)の恐れ知らずの名演にスタンディングオベーションが贈られた。
2021年にベストセラーになった同名小説を基に、あまり語られることのない“母であること”の苦しみと、それがどれほどの犠牲を強いるものなのかをコミカルかつ突飛な描写で描いた本作。エイミーが演じたのは、夫が出張の多い仕事をしているため、都会から離れて郊外で幼い息子を育てる専業主婦になった元アーティストだ。息子のことは愛しているもののワンオペでの育児は苦難の連続で、かつ家で同じことを繰り返すだけの日々に、出産前の自分や活躍する同僚たちを比べてしまい落ち込んでいる。そんなストレスレベルが最高潮になった頃、大量の毛やしっぽが生え始め、彼女は次第に犬へと変身していくことになる。
プロデューサーでもあるエイミーは企画の始まりについて、「出版前に映画化に興味があるかと聞かれ、読んでみたら、アイデンティティの喪失、親であること、夫婦の関係など多くの要素が素晴らしく語られていて、このキャラクターとストーリーにすぐに惹かれた」とQ&Aで明かす。「そして誰に監督してほしいか聞かれて、最初に頭に浮かんだのが彼女なの」と『ある女流作家の罪と罰』『幸せへのまわり道』のマリエル・ヘラー監督にほほ笑む。
ヘラー監督自身2人目の子供が産まれたタイミングで、7歳の子をテレビの前に置き、赤ちゃんを昼寝させたタイミングで執筆を進めていったとのこと。ヘラー監督は「昔あったものを、わたしたちがどれだけ失っているかに気付いた。昔の子育ては近くに住んでいる両親と一緒にするもので、世代を超えたコミュニティーの仕事だった。今は両親からも離れ、孤立してやっている。それに子供を産んだ後の体がどうなるかなんて、誰も教えてくれなかった」と切り出す。
初めて母親たちの集まりに出向いた時は、全員がすでにすごく仲がよさそうで拒絶反応が出たという。「全員クールで幸せそうに見えて、『わたしにはこの人たちは要らない』って思った。でも実際に子育てをしていくと、他の母親たちと話すことがどれだけ重要かわかった。深い経験をシェアすることが重要なの。他の人たちがこれから経験することを、シェアしてあげる。そうすれば孤独感が減るから。それがこの映画を作った目的でもある」と本作に込めた思いを語っていた。(編集部・市川遥)
第49回トロント国際映画祭は現地時間15日まで開催
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