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『トップガン』俳優のブレイクは「ようやく世界が追いついた!」 リンクレイター監督が喜び

シネマトゥデイ 映画情報 2024年9月12日 18時8分

 映画『ビフォア』シリーズや『6才のボクが、大人になるまで。』のリチャード・リンクレイター監督がインタビューに応じ、10代の頃から知るグレン・パウエル(35)の近年のブレイクについて、そして彼と共に作り上げた新作『ヒットマン』について語った。

 リンクレイター監督とグレンの出会いは、2006年の『ファーストフード・ネイション』までさかのぼる。「彼は当時14歳か15歳くらいのティーンエイジャーで、すごく小さな役にキャスティングしたんだ。でもその時はまだ彼をよく知らなかった。もちろん彼に“何か”があったからキャスティングしたわけだけどね」と振り返ったリンクレイター監督。それから10年を経て制作した大学コメディー『エブリバディ・ウォンツ・サム!! 世界はボクらの手の中に』(2016)での再会で、友人同士となったのだという。

 「“大人のグレン”に会ったのは、その時。この歳月でどれだけ彼が成長し、成熟し、とても賢く、面白くなったのかには感銘を受けた。彼が今持っている全てを、20代初期の時点で持っていたんだ。僕たちはそれ以来の友達だ。世界が追い付いて、彼がいかにユニークな才能かを発見したことは素晴らしいと思っているよ。彼は賢く、人好きする人で、本当に見たまんまの人物。超楽しく、賢く、親しみが持てる。彼のことについて悪く言うことを見つけるのは難しいと思うよ(笑)」と『トップガン マーヴェリック』『恋するプリテンダー』『ツイスターズ』と近年飛ぶ鳥落とす勢いのグレンの活躍を喜んだ。

 『ヒットマン』はリンクレイター監督とグレンの4度目のタッグ作で、一般人でありながら警察のおとり捜査に協力して殺し屋を演じ、殺しを依頼してきた70人以上を逮捕に導いたゲイリー・ジョンソンの実話から生まれたダークコメディーだ。ジョンソンについての記事は、リンクレイター監督とグレンが暮らすテキサスの雑誌「テキサス・マンスリー」に2001年に掲載されたもので、著者のスキップ・ホランズワースはリンクレイター監督の友人だった。

 「面白かったのは、ある日グレンが『ねえ、“ヒットマン”についての記事を読んだんだ!』と電話してきたんだけど、僕は『グレン、僕はそれを君が子供の頃に読んだよ』と(笑)。このストーリーについては何年も知っていて、ある意味とりつかれていたくらいだったが、映画としては形にならなかった。だけどグレンと話し始めて、僕たちはこれを一緒に映画にすべきだと気付いた。なぜなら僕はついに、意見を出し合い、ストーリーを開発できるクリエイティブパートナーを見つけたわけだから」

 二人は脚本も共に執筆した。リンクレイター監督は『ビフォア』シリーズでも主演のイーサン・ホーク&ジュリー・デルピーと共に脚本を執筆しているが、監督にとって演じる俳優たちと脚本を書くというのは自然なことなのだろうか? 「それはある意味、派生的なものといえる。僕はしばしば一人で書き、キャスティングをしたら、演劇みたいにワークショップをする。ワークショップは約1か月で、脚本に変更を加えたり、俳優たちのアイデアを含めたりする。だから僕にとっては単に、“どのタイミングで俳優たちが参加するか”という話なんだ」

 「シリーズ1作目の『恋人までの距離(ディスタンス)』(原題:Before Sunrise)では僕が脚本を書き、イーサンとジュリーと僕で3週間、一緒にリライトしていった。なぜなら僕は、彼らにとってリアルなものにしたいから。俳優たちは、自分が理解していないもの、もしくは共感できないものをやるべきではない。だから彼らのアイデアも取り入れて、『それはいいアイデアだ。こうするのはどうだろう?』みたいな感じで、少しずつ変えていく。僕にとってもリアルでなければならないからね。だから単にプロセスなんだ。今回の場合は、僕たちは初期から本作について話していたから、通常より早くからグレンと始めるのは自然なことだった。たくさん掘り下げられて、とても楽しかったよ」

 『ヒットマン』でもワークショップを行っており、脚本が出来上がると、俳優たちと朝から晩までそれを磨き上げていった。「僕のワークショップは“演技エクササイズ”みたいなのではなく、テキストベースで行う。ただ座ってたくさん話し、脚本にある全てをかみ砕いていくんだ。映画作りは、楽曲作りに似ていると思っている。ストーリー=メロディーで、それはすでに僕の中にある。ワークショップの作業は、セリフ=歌詞を完璧にしていくものなんだ。それにはたくさんの人々が参加できると思うから」

 流れるような自然なセリフが特徴のリンクレイター作品だが、アドリブは一切ない。ワークショップでしっかり詰めているからこそだろうが、リンクレイター監督はリハーサルでもアドリブをされるのは嫌だときっぱり。「僕はいつだってテキストベースだ。全ては脚本から生まれる。マイク・リーとかアドリブで成功している監督たちもいるけれど、僕は一度もそうすることに興味を持ったことはない。自分が脚本家すぎるんだろう。それに、俳優たちはアドリブが得意だと思っているが、実際はそうじゃない。イーサンとジュリーは最初『ただわたしたちにやらせてくれない?』って感じで、最終的に僕はOKした。それで彼らはいくつか言葉を言ったけれど、カットしてどう思うか聞いたら『うまくいかなかった』と。『その通り、うまくいっていない』と返したよ。映画はそうやって作るもんじゃない。もしそんな簡単ならば、みんなそうしているよ」と笑っていた。(編集部・市川遥)

映画『ヒットマン』は9月13日より新宿ピカデリーほか全国公開

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