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ビーストウォーズから四半世紀 『トランスフォーマー/ONE』音響監督・岩浪美和、“はじまりの物語”と運命的な巡り合わせ

シネマトゥデイ 映画情報 2024年9月21日 12時3分

 3DCG映画『トランスフォーマー/ONE』(全国公開中)の日本語吹替版で音響監督を務めた岩浪美和がリモートインタビューに応じ、“声優無法地帯”でおなじみのアニメ「ビーストウォーズ 超生命体トランスフォーマー」(1997~1998)から四半世紀にわたって携わってきたシリーズへの思いを語った。

 「トランスフォーマー」40周年のアニバーサリーイヤーに劇場公開される本作は、後に敵対することになる若き日のオプティマスプライム(オライオンパックス)とメガトロン(D-16)の友情と、シリーズ最初にして最大の激戦となったサイバトロン星の戦いを、新次元の3DCG映像で活写する。

 岩浪は、昨年公開された実写映画『トランスフォーマー/ビースト覚醒』、アニメ新シリーズとして8年ぶりの地上波放送となった「トランスフォーマー アーススパーク」に続き、『トランスフォーマー/ONE』でも音響監督に就任した。「1年以上前に、タカラトミーさん経由で作品を知りました。40年の歴史がある『トランスフォーマー』シリーズの原点に立ち返る作品に関わらせていただき、とても光栄です」と笑顔を見せる。

 サイバトロン星の労働ロボットだったオライオンパックスとD-16は、トランスフォーム(変形)能力を得たことで、オプティマスプライム&メガトロンという二大勢力のリーダーとしての道を歩むことになる。本編を鑑賞した岩浪は、「なるほど! って膝を打つ、すごく美しい脚本で、戦いの構図を作り続けてきたオプティマスとメガトロンの美しいプロローグになっていました。特にメガトロンが闇堕ちしていく過程が上手くまとめられており、シリーズ全体が愛おしくなりました」とクオリティーの高さに舌を巻く。

 さらに、岩浪は新次元の3DCGによる映像美に惹かれたという。「こんなに美しくロボットを描写した映画は、今までなかったのではないかと思うほど美しい」と強調し、「バトルシーンも美しいですし、惑星の描写もすごく綺麗。(映画を手がけた)ジョシュ・クーリー監督らの力量だと思いますが、本当に目から鱗といいますか、素敵な映画になっていました」と制作陣の手腕を評価した。

 日本語吹替版では、 中村悠一がオプティマスプライム役、木村昴がメガトロン役を務めている。ローカライズするにあたって「より受け入れられやすいキャラクターづくり」を目指した岩浪は、配給会社とディスカッションを重ねて二人を起用した。「二人ともすごくプロフェッショナルですし、 何度もご一緒させていただいているので、そのポテンシャルを理解した上でお任せしました。収録時も何の不安もなく、微調整を加えながら進んでいきました」

 そして、オプティマスと共に冒険を繰り広げる女性戦士エリータ-1の吹替は、俳優の吉岡里帆が担当した。岩浪は、吉岡がナビゲーターを務めるFMラジオ番組をたまに聴いていたといい、「番組に声優がたびたびゲスト出演していて、吉岡さんが声優の仕事にものすごくリスペクトを感じながらトークをされている印象を受けたんです。そこで、彼女なら絶対にいいお芝居をしてくださるという確信が芽生えました」とキャスティングの裏側を明かす。

 アフレコ収録にあたり、岩浪は吉岡の過去の出演作品を研究し、彼女に合ったセリフ回しを台本に反映させたという。「基本は吉岡さんが考えてくださったエリータ-1を収録する作業でしたので、作業自体はスムーズでしたし、2日間を予定していた収録も1日で終わりました。すると、吉岡さんから『明日もやりたい』と提案があり、翌日は1日目に収録したものを聞いて、100点のものを110点にする作業を行いました。エリータ-1の声も、ボイストレーナーの方と一緒に組み立ててくださったそうで、本当に真面目な方だなと思いました」

 声優たちによる強烈なアドリブの数々で一世を風靡した「ビーストウォーズ」から27年、岩浪は国内外問わず数多くの「トランスフォーマー」アニメシリーズに携わってきた。「音響監督はアーティストではないですし、クリエイターでもないと思っているんです」と切り出し、「“職人”として、クライアントやお客様に求められることを最大限に引き出す形で関わってきたつもりです。最初に携わった『ビーストウォーズ』に関しては、ターゲットの未就学児に玩具を売ることが目標で、もとの素材でどうやるのが最適解なんだろうってことを一生懸命考えた結果、あの吹替版が時代とうまくハマったんです」と当時を振り返る。

 40年続く『トランスフォーマー』シリーズの歴史に「多少なりとも貢献できた部分があるのかもしれない。そうやって、自分で自分を褒めてあげたい」と続けた岩浪。「シリーズが始まってから40年後、その出発地点に戻る作品に、また関わらせていただけたことは感慨深いですし、作品を愛してくださった皆さんにお礼を言いたいです」と打ち明け、「『トランスフォーマー/ONE』も、オリジナル版を崩さず、日本の『トランスフォーマー』ファンはもちろん、シリーズに初めて触れるお客さんにも楽しんでいただくにはどうすればいいのか、一生懸命考えて作ったつもりです。多くの人に受け入れていただけるといいなと思います」とアピールしていた。(取材・文:編集部・倉本拓弥)

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