A24が史上最高額の製作費を投じたアクション・スリラー映画『シビル・ウォー アメリカ最後の日』(全国公開中)のアレックス・ガーランド監督が来日インタビューに応じ、劇中屈指のトラウマシーンで登場する赤サングラス兵にまつわる裏話を明かした。(以下、映画本編の内容に触れています)
『シビル・ウォー アメリカ最後の日』は、内戦が勃発した近未来のアメリカを舞台にしたアクション・スリラー。14か月間一度も取材を受けていない大統領に単独インタビューを行うため、主人公・リー(キルステン・ダンスト)ら4人のジャーナリストがニューヨークから戦場と化したワシントンDCへと向かう。
劇中で最も衝撃的なのは、リーが仲間の若手カメラマン・ジェシー(ケイリー・スピーニー)らを捕らえた赤いサングラス姿の兵士と遭遇するシーン。兵士はリーたちに銃を向けながら、予告編でも使われている「どの種類のアメリカ人だ?」という強烈な質問を突きつける。回答次第では、その場で射殺される。一瞬たりとも油断できない緊迫した状況が伝わってくる。
ガーランド監督は「とても難しいシーンでした。俳優には不快な役を務めてもらう必要があり、共演者の中にはトラウマに感じる人もいるかもしれない」と振り返る。実際に、リーの報道仲間であるジョエルを演じたワグネル・モウラはそのシーンを撮影した直後、トラウマで地面に倒れ込み、大量の涙を流したという。
さらに「別の役者は撮影を一時中断させて、しばらくその場から離れてしまいました」とも明かしたガーランド監督。「とてもデリケートなシーンだったので、細心の注意を払う必要がありました。映画監督の中には、撮影を強行する人もいるかもしれませんが、私は決してそのようなタイプではありません。少しでも俳優の不安を減らせるように取り組みました」
ちなみに、赤サングラスの兵士を演じたのは、主演のキルステンの夫であるジェシー・プレモンス。もともと、同役には別の俳優がキャスティングされていたが、スケジュール調整がつかずに降板。急きょ妻のキルステンが電話で出演を打診したところ、快く代役を引き受けてくれたという。ジェシー役のケイリーは、「撮影は2日間だったのですが、彼はゾーンに入っていました。張り詰めた空気が流れる中、上手く撮影できました。ジェシーが役に入っている時は本当に恐ろしくて、ずっと不安でした」とシネマトゥデイとのリモートインタビューで振り返っている。(取材・文:編集部・倉本拓弥)
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