映画ファンの間で話題沸騰中のインディーズ映画『侍タイムスリッパー』の大ヒットを記念した舞台あいさつが、14日に都内で行われ、主演の山口馬木也を筆頭に、冨家ノリマサ、沙倉ゆうの、井上肇、田村ツトム、高寺裕司らキャスト陣が劇中衣装で登場。メガホンを取った安田淳一監督とともに、大ヒットしている現状について語った。
本作は、落雷によって幕末から現代にタイムスリップしてしまった会津藩士・高坂新左衛門(山口)が、自らの剣の腕を頼りに、時代劇撮影所にて斬られ役として第二の人生を歩むさまを描く時代劇コメディー。インディーズ映画界のミラクルヒット作『カメラを止めるな!』を上映したことでも知られる池袋シネマ・ロサで8月17日に初日を迎えると、鑑賞者による口コミがSNSで拡散され、大きな話題に。9月13日より大手シネコンを中心とした映画館で上映がはじまり、たった1館から172館まで公開規模が拡大。今後、251館での上映が予定されている。
そんなめまぐるしい状況に、安田監督も「今まで一生懸命(SNSの口コミに)いいねを押し続けてきたんですが、最近、いいねが追いつかなくなってきて。どうもこれはヒットしているようです」と笑顔を見せると、沙倉も「この間、誕生日だったんですけど、1,200とか1,300くらいいいねがついてました」とコメント。さらに「SNSに疎くて。いいねの意味がわかっていないですが、Xを毎日見て、寝不足の毎日です」と語る山口は、劇中で塩むすびをおいしそうに食べるシーンがあったことに触れ、「この間、コンビニで塩むすびを買ったら『おめでとうございます』と言われました」と明かし、会場を沸かせた。
安田監督にも「新幹線で岡山に行った時に座っていたら、男の人が目の前にしゃがんで、『おめでとうございます』と言っていただきました」という反響があったそうで、井上が「マスコミに一番出ているのは監督ですから」とちゃかしてみせると、「皆さんのために仕方なく出てるんです。これだけはわかってほしい」と慌てふためく。安田監督は続けて「でも、地元の祭りに朝からいたら、今までしゃべったことがないおっちゃんが『監督、大丈夫か』と。ずっと(製作費を監督の自費で賄ってきたため)残金7,000円としゃべり続けてきたから」と笑いながら話していた。
和気あいあいとした雰囲気の中、冨家が「こんなにチームワークがいいメンバーが集まるのは初めてと、よく話しているんです。今日もせっかく扮装(ふんそう)しているから、何かやれたらいいなと言っていたんですよ」としみじみ語ると、登壇者による劇中の名場面再現や、即興芝居などがはじまり会場は大喝采。『侍タイ』チームならではのユーモラスな掛け合いや、しみじみとしたやり取りなどを次々と披露し、会場はドッと沸いた。
そんな『侍タイ』チームの次なる目標とは? 安田監督が「この映画は(日本一の斬られ役として知られ、トム・クルーズ主演の『ラスト サムライ』にも出演した)福本清三あっての映画だと思うので、トム・クルーズさんにリブートしてほしい」とジョークを飛ばすと、冨家が「なんでもいいので、主役をやった山口馬木也に主演男優賞を。彼の現場でのあり方、この作品に対する取り組み方、姿勢に本当にほれていまして。山口馬木也になんとか主演男優賞を。そしてなんとか僕に助演男優賞を。皆さんが、『よし、山口馬木也に主演男優賞を』と思ってくださると、いろんなところに念が飛ぶ気がするので、よろしくお願いします」とぶっちゃける。
会場から大きな拍手が送られる中、さらに沙倉が「わたしは製作の時から言っていますが、この作品で日本アカデミー賞を獲りたいと思っています」と続けると観客はさらに大盛り上がり。かつて『カメラを止めるな!』が日本アカデミー賞で8部門にノミネートされたという実績もあることから、会場から期待を込めた力強い拍手が送られた。(取材・文:壬生智裕)
映画『侍タイムスリッパー』は全国公開中
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