映画『室井慎次 敗れざる者』のメガホンを取った本広克行監督が11日、TOHOシネマズ六本木ヒルズにて開催された初日舞台あいさつに出席。「踊る大捜査線」シリーズで湾岸署の刑事・青島俊作(織田裕二)を主人公に描いてきた本広監督は、青島と真逆のキャラクターを主人公にする難しさを明かした。この日は主演の柳葉敏郎をはじめ、福本莉子、齋藤潤、前山くうが、前山こうが、筧利夫、矢本悠馬、小沢仁志、飯島直子も来場した。
「踊るプロジェクト」12年ぶりとなる新作映画の主人公は、志半ばで警察を辞めた室井慎次(柳葉)。故郷・秋田県に帰った室井が、事件の被害者、加害者家族たちと暮らしながら、死体遺棄事件に巻き込まれるさまが描かれる。
舞台あいさつ序盤で「室井が嫌だったから断ろうと思った」と発言した柳葉。その言葉を受けた本広監督は「いろいろありまして……」と企画を進めていくうえでは難産だったことを明かし、「なんせ12年ぶりですし、室井というキャラクターは相当静かな男。『踊る』シリーズって、青島刑事に象徴されるように、ポップな作りだったのですが、室井は真逆のキャラ。それが主人公になるわけで、最初はどうしようかな……という気持ちでした」と苦労を語る。
そんななか、本広監督は「やっぱり室井はコメディーに振るタイプではないので、(室井が秋田で一緒に生活している)子供たちを使ってポップさを出し、静かな笑いに持って行こうと思ったんです」と述べる。柳葉は本広監督の演出に「現場に入ったら僕らは監督の元、一つの駒としてどこまで発揮できるか」と語っていた。
また本広監督は、司会者から「どんな映画になりましたか?」と問われると「この映画は『踊る大捜査線』ではないんです。『室井慎次』という映画なんです」とつぶやくと、「そのなかで『室井慎次』にも『踊る』が伝えてきたような同じようなテーマが流れていたんだなということに気づきました。あとはお客さんがどう思ってくださるのか……」と観客に解釈を委ねていた。(磯部正和)
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