渡辺謙が、ディズニー映画『ライオン・キング:ムファサ』(12月20日全国公開)で、ムファサに恨みを持つ冷酷な敵・キロスの日本語版声優に決定し、21日に都内で行われた発表イベントに登壇。久しぶりに受けたというオーディションの様子などを語った。
本作は、2019年に公開されたディズニー超実写版『ライオン・キング』の前日譚(たん)。冷酷な敵ライオン・キロスから群れを守るため、新天地を目指す旅の過程で孤児から王へ運命を切り拓くムファサと、彼の運命を変える“弟”タカ(スカー)の若き日の物語が描かれる。
ディズニー作品はほぼ全作所持しており、子供たちが小さい頃から観せていたという渡辺は、「(今まで)ディズニー作品からはお呼びがかからなかっただけで、初めて呼んでいただけてうれしい。久しぶりにオーディションを受けまして、見事『お前、やっていいよ』と言われたのでやらせていただきました」笑顔を見せる。
オーディションを振り返った渡辺は「台詞は緊張しなかったんですけど、歌がやたら面倒くさいんですよ。アフリカのビートが効いて、格好いいんだけど、『なんだろうな……』というくらい掴みどころがなく、その中でキロスの凶暴さや陰湿さを出さなければいけなかった」と苦労を明かし、「自分の中でこなせなくて譜割りを追うことに必死で、ダメならしょうがないかな……くらいの気持ちでやっていました」と語った。
また、超実写吹替版の監督から「キロスのキャラクターは孤高な存在感と確かな演技力を兼ね備えた渡辺謙さんのイメージとぴったり重なりました」「思いを歌で表現するシーンもあり、演技だけでなく歌唱力も必要な役柄であり、唯一無二のエンターテイナーである渡辺謙さんにぜひお願いしたいと思いました」とコメントを寄せられると、渡辺は「買いかぶりだと思います。(作品毎に)違う山を登らなければいけないので、かなり必死にやりました」と謙そんする。
劇中では、ヴィラン(悪役)ポジションとなるキロス。渡辺は「どういうふうに捉えていいのか戸惑いがありました。正義と悪できちんと色分けをした方がエンターテインメント映画としていいのかと思いましたが、(オリジナル版声優の)マッツ・ミケルセンは微妙なところを狙ってやられていたんですよ。キロスが存在していないかのような役として作り上げていたので、僕はそれに乗っかって、ただの悪役ではなく、キロスが守ろうとしているものに対して、ぶつかってくるものを跳ね返していく役を作ろうと思いました」と役へのアプローチを説明。
そして、「素晴らしいエンターテインメントで、愛、友情、胸を熱くするものがたくさんあると思いますが、人生の中の深いところまで触れて、上がってくる瞬間が多々ある作品になると確信しています。どんなジェネレーションでも楽しんでいただける素晴らしい作品になると思います」とアピールしていた。
この日は、ムファサ役の尾上右近もサプライズ登場。キロスは本作において「重要で大きな存在」であることから、「謙さんがお務めになると聞いて、気が引き締まるし、胸を借りられる部分もあるし、うれしくワクワクする高揚感がある瞬間でした」と声を弾ませる。また、本日が65歳の誕生日となった渡辺に「獅子舞 嘉例(カリー)」による「獅子舞」の演舞と、キロスをイメージした豪華オリジナルケーキをプレゼントし、渡辺を喜ばせていた。(錦怜那)
【関連情報】
・映画『ライオン・キング:ムファサ』オフィシャルサイト
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