16日、ドラマ「相棒」(テレビ朝日系・毎週水曜よる9時~)の新シーズン「相棒season23」がスタートした。第1話「警察官A~要人暗殺の罠!姿なき首謀者」は、特命係の杉下右京(水谷豊)&亀山薫(寺脇康文)の前に、かつて右京が助けた少年が警察官になって再登場し、SNSでは「胸アツだなあ」「あの子か!」と話題に。さらに、現実社会とリンクする題材に「さすが相棒」「タイムリーでワクワク」と盛り上がったほか、とある展開をきっかけに、過去作のサブタイトルが異例のトレンド入りを果たした。(以下、第1話のネタバレを含みます)
想像を絶する大震災と未曽有の疫病、ひっ迫する財政。それは右京が命じられてまとめている「警視庁150年史」の記述だ。高い志の下、警視庁を作ったのは大警視・川路利良(松田洋治)と内務卿・大久保利通の2人だったが、大久保は警察黎明期に暗殺されている。
元・国家公安委員長の芦屋満(並樹史朗)が刺殺された。甲斐峯秋(石坂浩二)からの依頼で捜査に乗り出した特命係は、現場で怪しい足跡を見つける。後を追った先にいたのは、警察官として地域課に勤務する高田創(加藤清史郎)だった。創は、2018年3月放送のseason16第19話「少年A」以来、5年半ぶりの登場。母親からのネグレクトで無戸籍だった彼は、右京と当時の相棒だった冠城亘(反町隆史)に救われていた。SNSでは「創くん警察官になっての再登場は熱い」「亘にも伝わっててほしい」と言った声が見受けられた。
ちなみに、加藤は高田創役として2度目の登場だが、実は2013年3月放送のseason11第18話「BIRTHDAY」に、12歳の隼人役で出演している。このときも、右京と3代目相棒・甲斐享(成宮寛貴)に命を救われていた。古沢良太脚本のこの回は、幽霊好きなのに霊感のない右京が、実際の幽霊に出会っている稀有な回だった。
値引きシールが貼られたスーパーのおにぎりの包み紙や、ロゴ入りの紙おしぼり、一口大に切られた食品など、一見ゴミのように見える遺留品を手分けして調べる右京と薫。一方、創は遺留品のお菓子から、あちことで試食をしている八木剛に行き当たり尾行をするも、半グレたちに囲まれてしまう。金に困って半グレたちの言うなりになっている八木に、かつての自分を見る創。薫も加わった乱闘の末、八木を確保した右京らは、遺留品の数々と八木の証言から、ドミトリー式の簡易宿泊所にたどりついた。そしてそこに、指紋を残さず顔も隠したままの怪しい謎の男がいたことをつきとめた。
半グレたちを創の先輩警官・仁科(内野健太)に引き渡した際、創は捜査一課の伊丹憲一(川原和久)と再会し、「お久しぶりです」と挨拶をした。以前の話で伊丹は「こんなことしかしてやれなくて、すまんな」と創に寄り添った言葉をかけていたのだ。「そうそう、伊丹はこう見えて優しいんだよ」とネットにはあたたかい声が。また、いきなり「ボーダーライン」がトレンドに挙がり、ファンの間で驚きが広がったが、これは八木と同じように試食を繰り返していた男の悲劇を描いた“トラウマ回”と名高いseason9第8話のサブタイトルのことだ。
殺された芦屋は、支持率が低迷する総理大臣・藤原龍一(柴俊夫)の盟友だった。内調のトップ・社美彌子(仲間由紀恵)からの報告にショックを受けるも、解散総選挙という支持率アップのための窮余の策を封じられ困惑する藤原。さらに、キングメーカーと呼ばれる与党幹事長の利根川(でんでん)も、藤原に見切りをつけようと動いていた。
芦屋に「ヤミ献金」疑惑が浮上し、捜査一課はその線で事件を追うことに。藤原の会見で芦屋について詰問したのは、帝都新聞から業務委託を受けて取材を進める薫の妻・亀山美和子(鈴木砂羽)だ。だが、藤原は盟友であることを否定する。
事件の凶器の特殊なナイフは「中野無差別殺傷事件」と同じものだった。都知事襲撃未遂事件を起こした生活困窮者の男が、無差別に人を襲い、死傷者を多数出した事件だ。芦屋の事件もその模倣犯だという噂もネットを席巻していた。だが、実は闇献金ではなく派閥の若手への票集めの金で、芦屋は利根川を味方につけ、自身が総裁選に出馬予定だったのだ。暗躍する美彌子、特命係をからかうように威嚇する利根川……。
創が新たに道に血痕を見つけるも、それは被害者のものではなかった。さらに特命係は、監察官の大河内春樹(神保悟志)から、副総監の衣笠藤治(杉本哲太)直々の命令として、大人しく150年史の編纂に従事しろと釘をさされてしまった。そんな矢先、総理大臣襲撃テロが勃発。後編に続くラストに「お預けなんて殺生な」「続きが気になりすぎる!」という声がSNSを席巻した。
また、芹沢慶二(山中崇史)に伊丹を差し置いて結婚話が持ちあがっていたことで「伊丹……」「芹沢~いなくならないで~」と先行きを心配する声も。さらに、薫と伊丹が胸をぶつけあう「空中戦」が久々に見られた際は、「これこれ~!おかえり~!」「やっぱ楽しいね、このふたり」と言った声が多数あがった。
また、私立探偵コンビの平井久義(福崎那由他)と高木宇宙(石川雷蔵)は、TELASAで配信中の長編オリジナルドラマ「相棒sideA/sideB」に登場した2人。「その後が見れた!」「なんかうれしい」と喜びの感想も見られた。
右京と薫は、「僕は一歩、君はもう二歩、足りないといったところですか」「なんで俺だけ二歩なんですか」「冗談ですよ」といった息の合ったやりとりを随所で見せた。150年史を描く過去の映像で、右京と薫が当時の扮装で登場するシーンはなかなかにレア。「見どころ多いなあ」「また楽しませてくださーい!」と新シーズンに期待する声がSNSにあふれている。(文・早川あゆみ)
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