2005年に誕生し、シリーズ全世界累計売上本数2,700万本以上を記録しているセガの大ヒットゲーム「龍が如く」。同作をオリジナル脚本で実写化した Amazon Original ドラマ「龍が如く ~Beyond the Game~」が Prime Videoで配信中。同作のメガホンを取った武正晴監督(Netflixオリジナルシリーズ「全裸監督」など)がインタビューに応じ、実写ドラマ化における狙いや主人公・桐生一馬の描き方について語った。
「龍が如く」は、“大人向けのエンターテインメント作品”というコンセプトに基づき、巨大歓楽街・神室町に生きる極道たちの生き様を描いたアクションゲームシリーズ。実写ドラマは、全6話のクライム・サスペンスアクションとして、1995年と2005年の二つの時間軸を交差させながら、桐生ら“家族”の絆の物語を紡ぐ。
武監督が参加したのは2022年3月のこと。「Amazonスタジオさんから(実写ドラマを)やるという話を聞いて、8月ぐらいからシナリオ制作が始まりました。もともと、アメリカの脚本家(ショーン・クラウチ)が参加していて、 話の大筋はすでに完成していました」武監督はそこから、吉田康弘&山田佳奈と共に約5か月かけて日本語脚本を完成させた。
本作の制作総指揮にも名を連ねる「龍が如くスタジオ」の横山昌義代表は、「モノマネをされる」ことが一番恐れていたことだと、7月に公開されたビデオメッセージで語っていた。武監督も「これだけ注目されている人気ゲームで、僕も含めてどうしても“原作の再現”に力を置きがちなんです」と切り出し、「モノマネする必要はない」と横山代表の要望通り、全く新しい「龍が如く」の世界観を構築していった。
「(原作を忠実に実写化する)プレッシャーからの解放みたいなことも含めて、モノマネする必要はないと思いました。もちろん、ゲームのポイントになるところは大事にしていかなければなりません。例えば、真島吾朗を出すことによって、そこの再現性を思いっきりやることができます。ただ、みんながそこばかり目指し始めると、バランスが悪くなってしまうんです。それ以外にも、何か狙っていかないといけない部分ってあるよねと。『全裸監督』を制作した時、(村西とおる役の)山田孝之さんにも同じことを言いました」
物語の中核を担うのは、原作ゲームでもお馴染みのキャラクター、桐生一馬(竹内涼真)と錦山彰(賀来賢人)だ。児童養護施設でともに育ち、家族のような絆で結ばれた2人だが、極道の世界に身を投じ、あることをきっかけにその関係は徐々に崩壊していく。
桐生について、武監督は「少し矛盾している主人公を描きたかった」と説明する。「桐生は劇中『俺たちは誰も殺さない』というセリフを放ちます。ヤクザは他律で、上からの命令は全て聞かなければならないところもありますが、(桐生が)そうではない主人公だったらどうだろうと思いました。『俺たちは誰も殺さない』と言い続けてヤクザを続けている。それが、2005年(のパート)で“反省”として出てきたりもします」
一方、錦山については「もともとヤクザの世界に憧れているわけでもないけど、桐生と一緒にいることを選択したことで、変な運命に巻き込まれていく」と説明。同役を務める賀来と初めて会った時に、「夏休みが終わったら、急に変わってしまったヤツ」と伝えたという。
「夏休み前とは全く変わってしまったような、急激に怖くなった男をどうやって表現するのか。(10年の間で)『一体何があったんだ?』という錦を描けないかと話して、賀来くんが『面白いっすね』と言っていたことを覚えています」
もちろん、実写ドラマには原作ゲームのエッセンスも忘れない。「地下格闘技場のシーンであったり、桐生が初めて“あの服”を着るタイミングなど、(原作ファンに向けて)そういったシーンも用意しています」
武監督はまた、普段ゲームをしない視聴者の反応も気になるという。「(原作ファンと新規層の)バランスをどう取るのか。お客さんたちの反応がどういう風に出るのかは、まだ想像がつきません。まずは、実際に観ていただいて、(反応を)楽しみにしたいです」と期待を寄せていた。(取材・文:編集部・倉本拓弥)
Amazon Originalドラマ「龍が如く ~Beyond the Game~」第1話~第3話は Prime Video にて世界独占配信中(第4話~第6話は11月1日に配信/全6話)
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