初代ゴジラ造形助手の鈴木儀雄が3日、TOHOシネマズ日比谷で行われた『ゴジラ』4Kデジタルリマスター版のジャパンプレミアに『ゴジラ-1.0』を手掛けた山崎貴監督と共に出席。初代ゴジラ制作にまつわるエピソードで会場を魅了した。
今年で10回目を迎えるゴジラ生誕を祝うイベント「ゴジラ・フェス」が、第37回東京国際映画祭とコラボ。1954年に公開された『ゴジラ』を、4Kデジタルリマスター版として日本初上映した。初代『ゴジラ』で造形助手としてスーツ制作に参加した鈴木は壇上で「年を取ってしまって、あと2年で90歳です」と発言し、客席からは拍手が巻き起こる。
鈴木は、多摩美術大学・彫刻科の1年生だった当時を「19歳のとき、最初の『ゴジラ』の制作に参加しました」と振り返る。さらに、その経緯について「当時お金がなくて、同級生だった円谷良夫くんに相談したら『ゴジラって映画を作るから行ってみたら』と東宝の撮影所に紹介状を書いてくれたんです。そこで初めて円谷(英二)先生にお目に掛かりました。そこには利光貞三さんや、チョウさん(開米栄三)、八木のおじいちゃん(八木勘寿・康栄兄弟)がいて、僕はアルバイトで参加したんですと」と説明すると、山崎監督も次々と登場するレジェンドたちの名前に恐縮する。
ゴジラを作るために大変だったのが材料集めだったという鈴木。特に、型を作るためのプラスチックは身近であまり使うものではなく、扱ったことがある人も少なく、非常に難しかったという。
さらに出来上がった最初のゴジラにも問題があった。鈴木は「中に入る人に合わせて作るわけですが、最初に完成したゴジラは非常に重くて、動けないと(スーツアクターである)中島春雄さんが怒るわけです。でも偉い人には面と向かって言えないので、僕を捕まえて殴るんです」と笑いながらエピソードを披露。山崎監督が「70年前の話ですからね」と今の時代ではない出来事だったことを強調すると、客席からは笑い声が響き渡った。
そこから改良を重ねるものの、やはり中に入る人間にとっては重労働。鈴木は「役者さんが一番大変だったと思う。ハイスピードカメラを4倍にしていたので、ライトの数も多く、とにかく熱がこもる。中島さんも手塚勝巳さんも、中がビショビショになったゴジラを見せるんです。『こういうスーツを作っているんだぞ』ってね」と笑っていた。
また撮影所でのエピソードについて「当時、黒澤明さんが『七人の侍』を撮っていましたが、東宝撮影所の大通りをスタッフ10人ぐらい連れて歩いていました。一方の円谷さんはひっそりとスクリプターを連れて2人でトコトコと歩いているんです」と振り返った鈴木。それでも出来上がった『ゴジラ』を観たときは「本当に感動しました」と懐かしそうに語っていた。(磯部正和)
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