俳優の萩原利久が27日、都内で行われた映画『世界征服やめた』のワールドプレミア上映イベントに、企画・脚本・監督を務めた北村匠海と出席。二人の知られざる関係や、アドリブ満載の撮影秘話が明かされた。この日は、共演の藤堂日向も来場した。
本作は、北村がポエトリーラッパー不可思議/wonderboyの楽曲「世界征服やめた」に強く影響を受け、楽曲からインスパイアされて自ら脚本を書き下ろし、監督したショートフィルム。萩原は、ひょうひょうとして白黒はっきりさせたがる同僚が選んだ決断に、人生を大きく揺れ動かされる社会人・彼方を演じた。
北村が「難産」と言っていた脚本作りを当初から知っていた萩原は「むじー(難しい)と言っていたので、オファーをもらったときは、こんなに早く形になるんだとびっくりしました」と目を丸くする。また、「今回の役は北村匠海にもできるんですよね。匠海に対して共鳴しているところ感じていて、それが脚本から感じられたので、匠海もできるからこそ“自分色”みたいな、俺はこれをやったというのを刻みたいという感覚が沸々と出てきました」と熱い思いがあったことを打ち明ける。
北村も「書いている中で彼方がどんどん自分になっていくんですよ。じゃあ自分みたいな役者は誰だろうと思ったら利久しかいなかった。途中からは二人にキャスティングを投げていないのに当て書いてしまえと想像を広げていきました」と説明。藤堂に関しては「最初にこの人を監督として撮りたいと思いました。彼の役者をしたいという渇望を撮りたいと思いました」とキャスティングに至った経緯を明かした。
撮影現場では「構えて準備せず、直感で感じたものがオンリーワン」の芝居になることを忘れずに臨んだと語る萩原。さらに、「コミュニケーションが円滑過ぎて、言葉をほぼ交わしていない」「余白が長すぎる。ほぼ放置されているんじゃないかというくらい無限に時間をくれちゃう。いつ終わるかわからないから、すごい緊張する」「(居酒屋のシーンでは)『完食するまでカメラ止めないから』と言われた」などと北村の演出にも言及。
すると北村は、家でのシーンを挙げ、「利久がインした日にテストもなしに『じゃあ(カメラ)回すから。この家で生きて』って(言った)」と回顧。萩原は「ガチでシャワーしてるんです。脚本を読んでいる段階でそんなことになると思ってなかったからびっくりですよ」と苦笑いした。北村はそんな萩原のアドリブ力を絶賛。あるシーンにおいて「携帯(電話)を充電するんですよ。(でもその状況で)携帯を充電するはずがないんですよ。それを僕は何も言っていないんですけど、彼がピッと充電した時に、さすが! それそれ! それだけを待っていた! と思った」と萩原のオンリーワンの芝居に興奮したことを思い返していた。(錦怜那)
映画『世界征服やめた』は2025年2月、ヒューマントラストシネマ渋谷ほか全国順次公開
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