人気医療ドラマ「ドクターX」シリーズの完結編『劇場版ドクターX』(12月6日全国公開)主演の米倉涼子さん(大門未知子役)が、シーズン初期からの共演者であり、10月17日に亡くなった西田敏行さん(蛭間重勝役)への思いを明かした。
尊敬する俳優の側にいられた
権威と束縛を嫌い、抜群の腕を持つ外科医だが法外な報酬が必要となる未知子は、西田さんが演じた蛭間重勝(元)病院長からしたら積年の恨みの対象となる人物だ。だが、実際の米倉さんと西田さんは大の仲良しだった。米倉さんはよく西田さんとの仲睦まじいエピソードを語っており、西田さんの訃報が出る1時間前にも寄り添った食事写真を自身のInstagramにアップしていた。「とても尊敬する方。俳優としても人としても、すごく影響されています」と米倉さんは愛おしそうに語る。
「西田さんが演じる蛭間は、一見優しそうながらも、狼のような顔を持ち、デレデレとした女好きの部分もあり、夫としての姿もありました」と一人の人間の多面性を軽やかに見せた今作の西田さんを表現する。「誰もが尊敬する俳優だったから、その近くにいられるという幸せを、まわりの役者すべてが感じていました。それが、当たり前にテレビドラマで、ずっと起きていた。ここまで『ドクターX』を続けてこられたのは、そんな西田さんのおかげというところも大きいと思うのです」
「いまね、この辺(自身の左肩のあたり)でトシちゃん(西田さん)が『へへへ』って笑っています」と米倉さんは言う。この取材の冒頭、米倉さんは開口一番「今日はトシちゃんがこの辺(左肩のあたり)にいますから、聞きたいことがあったら言ってくださいね」と語っていたのだ。それほど、西田さんは米倉さんにとって身近な存在だったのだろう。
その背中を追いかけたい
「彼は、周りの役者がそう思っていることを感じていて、『僕はみんなが拍子抜けするようなことをやる』という思いで現場に来てくれていたと思います」と米倉さん。それは、海老名敬(遠藤憲一)が蛭間に忠誠心を見せるために紙を食べたシーンで、西田さんがアドリブで遠藤さんの頬にキスをし、遠藤さんの度肝を抜いたエピソードを思い出させる。そんな、思いもかけない刺激がある撮影現場だったことから「いつも期待して現場に行っていました。行かなきゃいけない現場じゃなくて、楽しみにしていた現場。憩いの場でもありました」と米倉さんは思い返す。
「寒いから、暑いから嫌だとかはありましたけど、『めんどくさいな』と思う日は1日としてなかったです」ときっぱり。西田さんをはじめとした共演者によって、それだけやりがいと楽しさが詰まった撮影現場が作られていたのだ。
さらに、西田さんの俳優としての素晴らしさにも言及。「ご自身が座長の作品もたくさんあるけど、ちょっとした脇役でも、演じたいと思った役をわけ隔てなく、楽しんで演じていらした。本当に多彩な役柄を演じられて、カメレオン俳優とはこのことだなと思いました。しかも、“西田敏行”を忘れさせることなく、"西田敏行としてカメレオン"なのです」と俳優としての存在感を語り、「私もその背中を追いかけたいなと思っています」と決意を新たにしていた。(取材・文:早川あゆみ)
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