平野啓一郎の小説を池松壮亮主演で実写化する映画『本心』(公開中)で、公開後に「エンドロールを見てびっくり!」「え?どこに出ていたの?」「全然気が付かなかった!」と話題沸騰の窪田正孝。エンドロールでも伏せられていた窪田の役名が明らかになった。
映画『ある男』(2021)やNHKドラマ「空白を満たしなさい」(2022)などの原作者としても知られる平野啓一郎の同名小説に基づく本作。デジタル化が進み、“リアル”と“リアルでないもの”の境界が曖昧になった近未来を舞台に、自ら死を望んだ母・秋子(田中裕子)の本心を探るため、AIに生前の母の情報を集約させ人格を形成する VF(ヴァーチャル・フィギュア)を利用して仮想空間上に母を蘇らせる選択をする青年・朔也(池松)の葛藤が描かれる。『舟を編む』(2013)、『月』(2023)などの石井裕也監督がメガホンをとった。
キャストには池松、田中のほか三吉彩花、水上恒司、仲野太賀、田中泯、綾野剛、妻夫木聡ら豪華な顔ぶれが名を連ねているが、窪田が演じているのがAIの声であることが発表された。時代の変化に彷徨う朔也を悪気なく追い詰めていく役どころだ。
母を亡くした朔也が生活のために始めた仕事が、依頼者に体を貸し出し、指示通りに動くリアル・アバター。アバターのカメラ付きゴーグルと依頼者のヘッドセットを繋ぐことで、依頼主がアバターの行動を類似体験できるサービスだ。窪田演じるAIは、そのアバターたちを管理する役割を担う。アバターは、仕事を一件こなすごとに依頼主から評価が下されるシステムになっており、窪田演じるAIは時に依頼主からの心無い一言や無慈悲な評価を突きつける。
先日行われた舞台挨拶のQ&Aで観客から窪田の出演について問われた池松は、「撮影時はスタッフの声を相手に演じていましたが、映画が完成したらまさかの窪田さんの声で……」と驚いたことを明かしていた。窪田は、原作者・平野の小説を映画化した『ある男』に出演し、石井監督の『愛にイナズマ』(2023)では主演を務めた縁で今回のサプライズ出演が決まったという。(編集部・石井百合子)
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